三浦友和、佐藤浩市主演作と比較で自虐「勝てるわけがない」
俳優の三浦友和が29日、都内で行われた映画『葛城事件』完成披露上映会舞台あいさつに出席、製作費などを自身も出演している佐藤浩市主演の映画『64-ロクヨン-前編』と比較してみせ、「(本作が)大きな作品にも勝てる……わけがない」など自虐トークを炸裂させた。この日は、共演の南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈、赤堀雅秋監督も登壇した。
本作は、凄惨な事件の背景にある闇をあぶり出す、壮絶な家族の物語。抑圧的に家族を支配する父・葛城清(三浦)、リストラされて孤立する長男・保(新井)、精神を病む母・伸子(南)、そして無差別殺傷事件を起こし死刑囚になる二男・稔(若葉)。普通に見えていた葛城一家が崩壊していくさまを衝撃的に描く。
2013年の舞台版で作・演出のほかにも清役を務めていた赤堀監督は、当時から映画化するときの清役は「多面的な表現をする大好きな役者」という理由で三浦に決めていたという。しかし、三浦がオファーを受けたのはクランクインのわずか1か月前。この場合、何人かの役者にあたった後に自分に回ってきたと考えることが妥当なため、三浦もそう思っていたことを打ち明ける。だが新井いわく、赤堀監督は「台本を書くのが遅い」ためにこのような事態になったそうで、三浦は赤堀監督の熱烈ラブコールに「とても嬉しいし光栄」と笑顔を見せた。
三浦が演じることになった清には強烈で怖いイメージがあることから、自身にもそういう一面があるかを尋ねられると、登場人物が全員悪人というバイオレンス映画『アウトレイジ』でヤクザの若頭を演じたことを持ち出し、「『アウトレイジ』がいけないんですよ。そういうイメージがついて(笑)」とぶっちゃけて会場を沸かせた。
また、三浦は現在公開中の出演映画『64-ロクヨン-前編』を引き合いに出し、「製作費10分の1、上映館数30分の1、撮影日数はこちらが3週間、向こうが3か月間強」と自虐的に比較しながらも、「スクリーンにかかった時は同じ土俵」とキッパリ。さらに、「観終わった後に一言で言えない感情が必ず生まれます。それを誰かに伝えていただけると、大きな作品にも勝てる……わけがないですけど、評価として同じところに並べます」と自身の思いを語ると、「そのためには皆さんに応援していただけることが大切。宜しくお願い致します」と心からメッセージを送った。(取材/錦怜那)
映画『葛城事件』は6月18日より新宿バルト9ほか全国公開