こんな斎藤工、見たことない!?阪本順治の新作で演じた謎のキャラクターの秘密を明かす
『顔』の阪本順治監督と藤山直美が16年ぶりにタッグを組んだ映画『団地』で、これまでのイメージを覆すような“キテレツ”でユニークな役柄に挑戦した俳優の斎藤工が、憧れだったという阪本組での撮影を振り返った。
団地に引っ越してきたいわくありげな夫婦と、彼らが抱える秘密を暴こうとする住人たちが巻き起こす騒動をコミカルに描いた本作。二転三転し、最後には想像もしない展開へ発展していく物語の中、斎藤が演じたのは、人間離れした立ち居振る舞いをする謎の訪問者役。地に足のつかない“キテレツ”なその役どころに戸惑いはなかったかと問うと、斎藤はむしろそこに「救われた」という。
かねてから憧れていた阪本監督作品は、主演の藤山をはじめ岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司ら名だたる俳優ぞろい。そんな中、“キテレツ”な個性を背負うことが、レジェンドたちと接する上での武器を与えてもらったような気分になったのだそう。
「そもそも映画ファンであることが、俳優としての自分を邪魔していることがあるんです。自分の好きな映画に必ずしも俳優としての自分がはまるわけじゃない。阪本組にいつか出演したいという願望をずっと持っていたけど、冷静に考えたら、そこがどれだけ遠いかということをいつも感じていました」といい、「台本に書かれている自分の姿や、破天荒な展開を読んだときにそんな不安がすべて解消されたような気がしたんです。これなら阪本組と共存できるって」と笑顔を見せる。
「実際、これがもしいわゆる芝居の中で普通にコミュニケーションをとる役柄だったら、完全にのみこまれてしまうような共演者ばかりです。目が合っているけど合っていなさそうな自分の役どころがむしろ救いでした」と話すと、「今回は監督といろんなお話をさせてもらいながら、なぜ監督に呼ばれたのかその理由を全うすることだけを考えていました」と阪本組に参加した重み、難役を演じ切った喜びを噛みしめた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『団地』は6月4日より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国公開