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結婚初夜に花嫁の処女テスト アカデミー賞候補のトルコ人監督が明かす

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トルコにおける深刻な女性の結婚事情を描く『裸足の季節』
トルコにおける深刻な女性の結婚事情を描く『裸足の季節』 - (C) 2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY

 長編映画デビュー作にして、第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた映画『裸足の季節』のトルコ人女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンが、日本では考えられないトルコの驚くべき結婚事情を明かした。

【写真】トルコの深刻な結婚事情を描くアカデミー賞候補作『裸足の季節』

 物語の舞台は、イスタンブールから1,000km離れた黒海沿岸の小さな村。男子生徒と海で騎馬戦で遊べば「男たちの首に下半身をこすりつけるなんてふしだら」と折檻をされる。監督自身の体験が反映された衝撃的なエピソードから始まる本作では、女性が抑圧されたトルコの深刻な風潮を背景に、青春期を封印された美しい5人姉妹の過酷な運命が描かれる。

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デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
ハル・ベリー主演の大作が控えるデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督

 姉妹たちは叔父、祖母に外出を禁じられ、派手な洋服やアクセサリー、化粧品、携帯電話、パソコンなど悪影響をもたらすと判断された私物は次々と没収され、花嫁修業を強いられる。やがて、まるで工場の部品のように次々と見知らぬ相手に嫁がされていく。そんな過剰なまでの大人たちの“締め付け”に対し、監督は「トルコでは他の国に先駆けて、女性の参政権が認められた。だけど一方では保守的な考えの人たちもいて、女性自身が男尊女卑の掟を作ったり、その存続に加担することもあるの。この映画だと祖母がそれにあたるわ」とトルコにおける女性を取り巻く現状を嘆く。

 本作でとりわけ驚かされるのが、結婚初夜に処女であることを確かめるためにベッドのシーツで花嫁の出血確認が行われること。しかし監督は「知り合いの医者によると、このような異常なことが結婚式シーズンに40回も50回も起きているそう」と結婚の現実を語る。そんな姉の不幸な結婚から未来に絶望し、破滅していく三女エジェには胸を締め付けられずにいられない。

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 そんな救いようのない展開にかすかな希望の光をもたらすのが、本作のヒロインとも言える13歳の末っ子ラーレの存在だ。姉たちの悲劇的な運命を見届け、思いがけない言動に出る聡明なラーレに対し、監督は「わたしが最も憧れを感じるのはラーレ。彼女にはわたしが『こうあってほしい』という願いを込めているの」という。さらに、「オバマ大統領も言っていたけど、人種差別問題の大きな問題とは被害者側が問題を外に出さずに、内側にずっと秘めていること。わたしも、トルコの女性たち自身が問題提起をしないことに問題があると思うわ」とキャラクターに込めた切実なメッセージを話した。

 気になる新作については、「一つはわたしがずっと企画を温めていた『キングス(原題)/ Kings』という作品で今年の10月には撮影に入る予定よ。1992年のロサンゼルス暴動についての映画で、主役をハル・ベリーが演じるの」とオスカー女優を主演に迎えたビッグタイトルが控えていることを明かした。(取材・文:編集部 石井百合子)

映画『裸足の季節』は6月11日よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開

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