役所広司と西島秀俊がお互いにジェラシー
俳優の役所広司が21日、都内で行われた映画『クリーピー 偽りの隣人』トークイベントに西島秀俊、黒沢清監督と共に出席し、本作に自身が出演していないことを嘆いた。
本作は、未解決の一家失踪事件を分析する犯罪心理学者の高倉(西島)と妻の康子(竹内結子)が、事件と不可解な関係を持つ奇妙な隣人の西野(香川照之)に翻弄され、やがて戦慄の闇へと引きずり込まれていくさまを描いたサスペンス・スリラー。
黒澤映画の常連でありながら今回は未出演の役所は、冒頭から「出させてもらえませんでした」と渋い顔。しかし、2回鑑賞するほど「とにかく面白かった」と感想を述べると、「導入部の吸引力であっという間に映画の世界に引き込まれました。エンターテインメントとしてよくできていて、観終わった後に監督が解釈の余白を与えてくれるから、もう1回観ようとなる」と褒めちぎった。そうは言ってもオファーがなかったことが相当悔しかったようで、「導入部が本当に格好いい。なんでここに僕が出ていないんだろうと思いました」と畳みかける役所。その様子に、西島は「役所さんが出たら僕が出られないじゃないですか!」と抗議。黒沢監督は「こんなことなら役所さんに1カットでも出ていただけばよかった」と笑っていた。
また西島いわく、本作は連続猟奇殺人事件の謎を追う刑事(役所)と事件に関わる謎の男を描いたサイコ・サスペンス・スリラー『CURE キュア』と比べられることが多いというが、「役所さんが作品に出ているときは、最初は人間なんですけど、最終的には人間を超えた何かになる。それは役所さんにしかできない。僕はどこまで行っても人間」と敬服する。すると黒沢監督は「(高倉役は)かつてだったら役所さんだった」と打ち明けると、「今回も役所さんだったらこんな感じだなとモデルがあった。でも、それはそれとして『CURE キュア』の役所さんとほぼ同い年の西島くんだったら、さぁどうする? どう役所さんと違ってくる? というのが観たかった」と説明。自身に一目置く監督の姿に役所は「次回作に出られるかもしれない」とホクホク顔で観客を笑わせていた。(取材/錦怜那)
映画『クリーピー 偽りの隣人』は全国公開中