宮藤官九郎が語る神木隆之介の魅力「追い詰められた時に輝く」
公開延期となった映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』が、約半年を経て公開される。本作の監督・脚本を務めた宮藤官九郎と、同作で長瀬智也と共に主演を務めた神木隆之介が、奇想天外な地獄を描いた本作の着想や演者としての思いを語り、今後の再タッグをも予感させた。
本作は、事故死により地獄へ落ちてしまった高校生の大助(神木)が、思いを寄せていたクラスメイトとキスする夢を叶えるべく、地獄の高校でロックバンドを率いる赤鬼・キラーK(長瀬)の厳しい指導を受けながら現世への転生を目指すコメディー。脚本家、俳優、ミュージシャンなどマルチに活躍する宮藤にとって4本目の長編映画監督作となる。
今回のオリジナリティー豊かな企画は、長瀬と音楽を使った映画をやりたかったことや地獄が舞台の作品をやってみたかったこと、セットで演劇のように撮影したかったことなど、複数の要素が合わさって生まれたもの。さらには、いろんな作品で組んできた長瀬を「日本の俳優さんじゃないようなダイナミックな演技ができる人」だと高く評価する宮藤は、「彼なら強烈なキャラクターが物語を引っ張っていく、アメリカの暑苦しいコメディー映画みたいなものもできるだろうと思った」という。
長瀬と約15年ぶりに共演した神木は、初共演時の長瀬とほぼ同じ歳になっての再会を運命的に感じたそうだが、お互いに役作りをして芝居でぶつかるのが少し恥ずかしかったともいう。神木は約13年前の宮藤脚本のテレビドラマ「ぼくの魔法使い」にもゲスト出演していたが、2011年のテレビドラマ「11人もいる!」で宮藤の脚本作品に初主演。同作でも従来のイメージと違った役で幅を広げていたが、今回も調子に乗っている高校生の大助役で、新たな一面を見せている。
神木自身には宮藤作品で役の幅を広げた実感はないようだが、「(宮藤作品で演じる役は)自分が思っていることや自分の素の雰囲気に近いというか、笑えるツボなども近いから、とにかくすごく楽しいんです。唯一考えていたのは、自分(が演じた役)を見て『あいつバカだなあ』『ダッセー』『むかつくなー』とか言いながら笑っていただきたいということです。それが演じた役のキャラクターや作品と合ったからこそ評価していただけたのかもしれません」と、撮影現場での思いを振り返り、宮藤作品との相性の良さを語っている。
「追い詰められた時に輝く神木隆之介」というジャンルがある気がすると語る宮藤に、今後神木に演じてほしい役について聞くと、「これまでは好青年や神秘的な青年とかが多かったですが、全く好感のもてない人間をやってみてほしいですね(笑)」とのこと。神木自身は「長瀬さんとは、二人で同じ人を好きになるような役を演じてみたいですねと言っているんです」と語っており、いつか神木が長瀬と三角関係に陥る宮藤作品を観ることができるかもしれない。神木と長瀬は地獄専属のロックバンド「地獄図(ヘルズ)」として、5月21日の野外ロックフェス「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016」に続き、6月24日には「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に出演することが決定している。(取材・文:天本伸一郎)
映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』は6月25日より全国公開