香川照之、実在人物演じる秘けつ明かす
NHKの終戦スペシャルドラマ「百合子さんの絵本 ~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争~」の試写会が21日に都内で行われ、薬師丸ひろ子と香川照之が出席。大河ドラマ「龍馬伝」の岩崎弥太郎など実在の人物を演じてきた香川は「とにかくお顔と体つきとか写真を穴があくほど見ます」と役作りの秘けつを語った。
同作は「ムーミン」など児童文学の翻訳者として知られる小野寺百合子の知られざる過酷な戦争体験を通して夫婦の愛と絆を描いた人間ドラマ。スウェーデンで行われていた命がけの情報争奪戦を通して、駐在武官の夫とともに諜報の最前線を生きた女性の姿を描く。
これまで実在する人物を数多く演じてきた香川は、本作でも「諜報の神様」と言われたスウェーデン駐在の陸軍武官・小野寺信を好演。演じるにあたり「実在の人物を演じさせていただくときは、とにかくお顔と体つきとか写真を穴があくほど見ます。とてもシンプルなことかもしれないですけど、どれだけ肉薄するかをまず重要な課題として思っております」とこだわりを説明し、「今回一番こだわったのは眼鏡です。彼のあの眼鏡と僕がフィットできるよう何個も合わせて、ピタッと合う眼鏡を見つけた時にこれはいけると思いました」と振り返った。
一方、薬師丸も百合子の35歳から75歳までを丁寧に演じわけ 「今までも戦争をテーマにした作品に出演したことはありますけど、今回、自分たちで何かできるんじゃないかという重いものを背負った人物を演じる事は初めての事で、とてもプレッシャーでした」と思いを吐露。それでも、「撮影中追い詰められていく中で手探りでしたけど、みなさんの力を借りて完走した感じです」と晴れやかな表情を見せた。
また会見では薬師丸について香川が共感を語る一幕も。薬師丸が演技指導が厳しいことで知られる相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』などを経験していることに触れ、同じような撮影現場をくぐり抜けてきたという香川は「ロケ現場で言葉を交わした時に、お互いの人生の苦労が語らずとも分かりました」と語っていた。(取材・文:中村好伸)
終戦スペシャルドラマ「百合子さんの絵本 ~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争~」は、NHK総合にて7月30日21時から放送