血とハイヒールのモデルホラーが物議!『ドライヴ』監督の新作とは?
カンヌ国際映画祭で物議を醸した新作『ザ・ネオン・デーモン(原題) / The Neon Demon』について、ニコラス・ウィンディング・レフン監督と主演エル・ファニングが、6月22日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
本作はファッションモデル界を舞台にしたホラー。L.A.に出てきたばかりの16歳の新人モデル、ジェシー(エル)は、圧倒的な美貌からすぐにデザイナーから指名を受け頭角を現すが、逆に仕事を奪われたモデルたちは彼女に復讐を始めていく。
出演過程について、エルは「ニコラスの自宅には娘さんが2人いて、(彼が買った)プリンセスの衣装が所構わず置いてあるし、『アナと雪の女王』の『Let It Go』も流れていたの。男らしさ、血、暴力を描いたら映画界のキングであるニコラスが、女性的な面も持つことに驚いたわ。それから彼は、わたしに『自分を美しいと思っている?』と聞いてきたの。その時点で今作の概要は理解していたけれど、質問には違和感を覚えた。でも、一度笑ってから『イエス』と答えたの。自己愛から『イエス』と答えたけれど、人によってはその返答はかなりのナルシストにも聞こえる。でも、そんな境目にいる主役が良いと思った」と明かした。
企画当時のコンセプトとの違いについてレフン監督は「実は最初のコンセプトは(今作に出演している)クリスティナ・ヘンドリックスとの会食時のものだ。僕が彼女に『女性のホラー映画を作りたい』と言うと、彼女は『どんな映画になるの?』と聞いてきたから、『血とハイヒールを描く』と教えたんだ。その後僕は(グッチのコマーシャルなどで)ファッション業界にも関わると、そのグラマーな世界に惹かれ、モデルの世界は素晴らしい背景になるとも思った。ただテレビでは、モデル業界のドキュメンタリーを多く扱っていた。そこでエルと僕は美について話をし、この映画では、モデルの世界を背景に美への強迫観念を描こうと決めた」と語った。
また、作品が物議を醸すことについて「僕は娯楽を提供している。その上でユーモアたっぷりで、不条理で、たくさんのエゴやわがままもある。ただ、人々の好き嫌いが明確な映画製作は非常に難しく、僕はそんな映画をわがままに追求している。それこそが、自分が生きていると感じさせてくれて、まるで本を読んだときのように感情が流れる。そんな反応をすることが映画製作には不可欠で、映画の良し悪しは気にしていない」と持論を語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)