前田敦子、トニー・レオンとの幻に終わった映画への思い
女優の前田敦子が7日、都内で行われた映画『クリーピー 偽りの隣人』のトークショーにメガホンを取った黒沢清監督と出席し、幻に終わった黒沢監督とのタッグ作『一九〇五』をしみじみと振り返る一幕があった。
『クリーピー 偽りの隣人』には出演していないが、黒沢監督の『Seventh Code セブンス・コード』に主演していた縁からこの日、壇上に上がった前田。「先日まで新井浩文さんとドラマを一緒にやっていたんですけど、新井さんとわたしの中で、今まで演出してもらって一番怖かった監督は(共に)黒沢さんでした」と明かすと、「優しいのにすごく厳しいっていうのがわたしの中にあるんです。素敵な方なので、ちゃんと応えたいという気持ちになるんですかね。(撮影中)見てくれているのがわかるので、愛情を感じれば感じるほど応えなきゃって頑張りました」と黒沢監督との撮影を嬉しそうに振り返る。
また、日本・中国合作映画として2013年秋公開を予定していた黒沢監督の『一九〇五』で、前田がヒロインを務め、国際女優デビューする予定だった。同作は尖閣諸島問題の影響によって製作が難航、さらには製作・配給を行っていたプレノン・アッシュの資金繰り悪化が原因となり、お蔵入りとなってしまった。主演予定だった香港俳優トニー・レオンが出演を辞退したことでも当時話題となった。
黒沢監督は七夕であることにちなみ、願い事を明かす中で、「随分前、ひとつ、中国とかが絡んでいる大きな企画があったんですけど、それがうまくいかなくなってしまった」と『一九〇五』について切り出すと、「その映画のヒロインが前田さんでした」としみじみ。「その映画なんかも含めて今後、細々とでもいいから映画を撮り続けることができたらなというのが僕の願い」と思いを明かす。
その一言を聞いた前田は、感慨深げ。当初は自身の願いについて「いくら食べても太らない体になりたい!」と無邪気に話していたが、急遽「わたしもじゃあ、その『黒沢さんとの作品が夢で終わりませんように』に(願いを)変えます」と話して笑顔を見せていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『クリーピー 偽りの隣人』は全国公開中