ミックステープ作りよりニュース編集!伝説の歌手フランク・ザッパの素顔を娘が語る
アメリカの伝説のミュージシャン、フランク・ザッパさんを描いたドキュメンタリー映画『イート・ザット・クエスチョン:フランク・ザッパ・イン・ヒズ・オウン・ワーズ(原題) / Eat That Question: Frank Zappa In His Own Words』について、フランクさんの長女ムーン・ザッパとトーステン・シュッテ監督が、6月22日(現地時間)ニューヨークのAOLで行われたイベントで語った。
政府から音楽産業までアメリカが抱える問題を厳しく指摘してきたミュージシャン、フランク・ザッパさんのテレビインタビューやパフォーマンス映像などを通して、彼の30年の音楽キャリアを振り返った作品。
今作はフランクさんのインタビューを中心に構成されている。「純粋に、このようなインタビュー形式を中心にした(フランクの)映画が描かれる必要があった。なぜなら、(フランクの生存時に)彼自身の言葉で語るべきプラットフォームをもっと与えるべきだったからだ。(フランクの遺産管理団体から許可を得た)何百時間にもわたるフランクのインタビューのアーカイブ映像を編集していた際に、僕の前に全く別人のようなフランクが現れた。それは、(メディアや彼に批判的な人々から)陳腐な表現でレッテルを貼られていた彼とは全くかけ離れていた。僕には多くの発見があった」とシュッテ監督が振り返った。
ムーンが子供の頃のフランクさんは「ミックステープを作るよりも、さまざまなニュースを見て、それを編集してVHSテープにまとめていた。彼は自分の周りに起きていることに興味を示し、それを人々に伝えて、人々の目を覚まさせていたわ」と答えると、シュッテ監督は「それはある意味、彼の仕事の延長だね」と続けた。
父親としてのフランクさんは「彼はシチリア系の愛国心を持った模範的な人で、わたしは実家を出るまでボーイフレンドさえできたことがないくらい、気楽な両親ではなかったわ。威嚇されている感じもあった。彼の口調は柔らかで、決して声を荒げることもなかったけれど、その方がむしろ叫ぶ人よりも怖かった。彼は、わたしを含めた子供たちに同じ音楽業界の仕事をしてほしくなかったの。彼は死ぬ前に妻アデレード・ゲイルに『Dry Goods Business』(音楽業界のことを、雨に恵まれない“乾きもの”のビジネスと評していた)から出るように言っていたくらい」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)