あの美少年はだれ?『シング・ストリート』16歳、気になる素顔を直撃した!
日本でも口コミで話題を呼んだ『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督最新作『シング・ストリート 未来へのうた』が9日より公開された。主演に抜てきされたのは、アイルランド出身で現在16歳のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。本格的な演技はこれが初めてだという彼の素顔を直撃した。
本作は、1980年代のアイルランド・ダブリンを舞台に、さえない日々を送る14歳の少年コナーが一目ぼれした女の子を振り向かせるためバンドを組み、音楽やミュージックビデオ撮影に没頭していくさまを描いた、カーニー監督の半自伝的作品。主演は、アイルランド全土で半年かけて行われたオーディションで数千人の中から選ばれた。
小さい頃から音楽をやっており、ボーイソプラノでオペラにも出演経験があるフェルディアは、カーニー監督の出世作『ONCE ダブリンの街角で』が好きで、「(同作で主演を務めたミュージシャンの)グレン・ハンサードのように、音楽をやっていく上でのキャリアとして自分にもいいんじゃないか」と思い、オーディションを受けたという。
音楽は映画撮影前に収録し、劇中のバンドシーンではそれに合わせて歌ったり、演奏するふりをする方法を取っていたそうで、バンドメンバーの中には楽器を弾けない子もいたというが、フェルディア自身は自ら歌っており、「今までクラシックな歌い方を習ってきたから、逆にそういった歌い方ではなく、あまりうまく歌いすぎない特訓をするのが面白かった」と無邪気に笑う。
カーニー監督の現場については「スタッフみんなが映画作りを楽しんでいて、このセリフは違和感あるなと思ったら、それを言える雰囲気がある。ちょっと生意気かもしれないけど、僕も思ったことを言うと監督はすごくオープンだから受け入れてくれた」とフェルディア。「それと監督は自然な雰囲気を望んでいて、『演技をするな』ということを何度も言われた。それは新鮮だった」と振り返る。
一方、主人公同様、学校にはあまり良い思い出がないようで「居場所がない感じがしていた」と語るが、本作に出演したことで人生は大きく変わったよう。「音楽を仕事としてやっていけたらいいなという漠然とした気持ちはあったけど、この映画に出演してやりたいことを追い求める道が開けた。そういったことを優先して生きていきたいと両親にも相談したら理解してくれたよ。新学期からまた学校に戻るかは、忙しくてまだ考えられていないんだ」。
先日は本作のプロモーションでオーストラリアを訪れたそうで、「映画に出ていなかったらオーストラリアに行くことなんてなかったかもしれない。一緒に行った母も、死ぬまでにオーストラリアに行くなんて思っていなかったと言っていて、僕には願ってもないキャリアができた」とうれしそうに語り、「友達が撮った日本の写真がとても美しかったから、日本にもぜひ行きたい」と話してくれた。
気になる今後については「『シング・ストリート』の前は音楽中心と思っていたけど、今は演技もやりたいという気持ちが強い」といい、まだ詳しくは言えないが、すでに次の作品も決まっているそう。再びその演技と歌声を披露してくれる日が来るのが楽しみだ。(編集部・中山雄一朗)
映画『シング・ストリート 未来へのうた』は公開中