『スタトレ』ゲイ設定キャラ、俳優の「残念」発言が物議
新『スター・トレック』シリーズの第3弾『スター・トレック BEYOND』に登場するミスター・スールーがゲイの設定になったことに、テレビドラマ版で同キャラクターを演じていたジョージ・タケイが「残念だ」との意見を The Hollywood Reporter に述べ、物議を醸している。
同性愛者であることを公表しているジョージは「ゲイのキャラクターがいることには大喜びだ。ただ、(クリエイターの)ジーン・ロッデンベリーが熟慮して創作した設定を変えてしまうことは非常に残念に思う」とコメント。スールーをゲイにするアイデアを聞いたときは、新たにゲイのキャラクターを含めた方がいいとアドバイスをしたことも明かしている。
ジョージは、この映画が半世紀にもわたって語り継がれてきたジーン・ロッデンベリーさんのビジョンに敬意を表する『スター・トレック』の放送50周年記念の年に公開される作品であるため、彼のオリジナルの設定を尊重すべきだと意見を述べたというが、聞き入れられなかったそうだ。
ジョージが不満を口にしたことに対し、映画版でスポックを演じているザカリー・クイントは、「ジョージ同様、LGBTコミュニティーの一員である僕としては、彼が残念に思っていることが残念で仕方がない。彼には彼が歩んできた道のりがあり、このキャラクターとも個人的なつながりがあるのは理解できる。しかし、2009年の映画『スター・トレック』でもわかるよう、われわれは違う世界を創りだしたんだ」とコメント。若い世代も含め、ファンがスールーが同性愛者であることを受け入れてくれたことが、いつかジョージの心の糧になることを願っていると言っている。
また、脚本家の一人でスコッティを演じているサイモン・ペッグは、SF界で最も包括的な世界を描いている同作にこれまでLGBTのキャラクターがいなかったことが残念だとコメント。「新しいキャラクターをゲイとして登場させることもできたが、そうすると観客は、そのキャラの本質的な部分を見ずに、ゲイのキャラとして認識するだろう。それこそ形式的に同性愛者のキャラを含めただけになってしまう」と語っている。
サイモンによると、ジーンさんがエンタープライズ号のクルーをストレートとして描いたのは芸術的観点からではなく、時代がそうさせたのだろうと推測。米テレビ史上初の異人種間のキス(カーク船長とウフーラ)をフィーチャーしたエピソードは時代の先を行き過ぎ、当時は最も視聴率が低かったエピソードとして知られていることにも触れ、ゲイのキャラクターを含めることは難しい時代だったことを説明している。(澤田理沙)