『トイ・ストーリー4』は今佳境!ピクサーに求められているハードルの高さ
全米でアニメ映画史上No.1オープニング興行収入を稼ぎ、快進撃を続けている映画『ファインディング・ドリー』のアンドリュー・スタントン監督が、彼自身がスタッフとして携わっている新作『トイ・ストーリー4(原題) / Toy Story 4』が今佳境にあることを明かした。
ピクサーの初長編作品として、今もなお社を代表する作品として挙げられている『トイ・ストーリー』。第1作から関わっているスタントン監督は、「どの作品ももちろん大変なんだけれども、『トイ・ストーリー』も簡単ではありません」とコメント。また「すごく最初からハードルを高く設定しているので……」と話すと、全米公開日が当初予定されていた2017年6月16日から2018年6月15日に変更されたことに触れ、「ほかの作品と同じくらいの質を求めて、リリース日を遅らせているほどですからね。とっても佳境ですよ」と笑みを浮かべつつも、大変な日々を送っていることを明かす。
もちろんピクサーにおいて高いハードルを求められるのは、『トイ・ストーリー』だけではない。今回スタントン監督が新たに放った『ファインディング・ドリー』も、前作『ファインディング・ニモ』のキャラクターのデータを全てアップデートして挑んだ意欲作だ。スタントン監督は共同監督のアンガス・マクレーン監督と共に、10年以上の間に技術は進化したがそれゆえに作り直さなければならなくなった部分もあったと苦労を明かす。
そして何よりもピクサーが重要視しているストーリーボード(脚本・画コンテ)作業は、『ドリー』では3年以上の月日を要したとのこと。本作はピクサーにとって、17作目の作品でもあるが、それでもやはりこの作業はいつも大きな山になるのだそう。「われわれもスキルが上がりましたからやろうと思えば、1年で作品を作ることもできるんです。ただ、それに見合った良い物語を作らなければならない。われわれの感覚だとそれは、3年半の期間が必要だったんです」。今回だと実際に、10回以上ストーリーが練り直しされたという。
その結果、まるで前作の製作時から考えられていたような、『ニモ』からスムーズに『ドリー』につながる、主人公のドリーとマーリンの出会いのシーンが完成。「試行錯誤の結果なんです」と満足げな表情を見せる監督たちは、「まるで黒澤明監督の『羅生門』(1950)みたいでしょ?」とニヤリ。そのほかにも『生きる』『Shall we ダンス?』『東京物語』『たそがれ清兵衛』『十三人の刺客』などの日本作品も観ていると、しっかりと日本映画の研究もしていることをうかがわせた。(取材・文:編集部・井本早紀)
映画『ファインディング・ドリー』は公開中