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開幕前日にスタッフが辞め出す…邦画も多数出品のモントリオール世界映画祭で波乱

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各種許可証は小さな事務所で手作業で発行される事態に
各種許可証は小さな事務所で手作業で発行される事態に

 邦画も多数出品されている第40回モントリオール世界映画祭が現地時間25日、波乱の開幕を迎えた。開催前日、運営スタッフたちが数人を残して辞任したのだ。現地メディアによると、映画祭のスタッフから送られた書類には、賃金未払いを含め資金運営への不安が積み重なり、合意できる解決策がどうしても見いだせないためこのような決断をしたと記載されていたとのこと。これに対して、本映画祭の創設者で代表のセルジュ・ロジック氏は、数人のスタッフが辞めたが映画祭は予定通り開催すると答えたという。

モントリオール出品作『グッドモーニングショー』作品情報

 開催初日の25日、世界中から集まった映画製作者やジャーナリストが受け取る各種許可証は、何度も受け取り場所が変更された後、小さな事務所に個別に入り、数人のスタッフによりその場で手作業で発行される事態となった。さらに公式サイトの上映スケジュールは削除され、どの作品がどこの映画館で上映されるかは後日、メイン会場となるインペリアル劇場に張り出されるという。

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 開催が危ぶまれる中、オープニングセレモニーは無事に行われた。大きな拍手で迎えられたセルジュ・ロジック氏は、開催できたことへの感謝の言葉を述べ、「私にとって映画は情熱そのものです。特に激しいドラマが展開する映画が好きです。今回の映画祭のようにね」と各メディアによるゴシップ的な記事に触れながらあいさつした。

Kiss Me Like A Lover
それでも無事に開幕を迎えられ、笑顔の『キス・ミー・ライク・ア・ラバー(原題)』チーム

 上映されたオープニング作品は、カナダの監督アンドレ・フォーシアによる『キス・ミー・ライク・ア・ラバー(原題) / Kiss Me Like A Lover』。1940年代のモントリオールを舞台に、生まれながら下半身不随の双子の妹の性的妄想に翻弄される兄が、戦時中の混乱による不安のよりどころを求めるさまを幻想的に描いた作品だ。上映後、作品への賛辞の拍手が続く中、監督と出演者たちは舞台に集まり、映画祭の初日を無事に迎えられたことへの感動の笑顔を見せていた。

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 しかし、上映スケジュールが未定であることに変わりはない。運営資金への不安を持っているのは映画を上映する映画館や、製作関係者の宿泊先となるホテル側も同様であり、会場の使用契約を断られたとの報道もある。本映画祭の創設者であるセルジュ・ロジック氏は映画製作において素晴らしい人物であり、また運営スタッフたちも映画を愛する人たちだと報じられてる。ではなぜこのような状態になったのか。競争相手が増えたことや助成金の問題も含め、北米で古くから開催されてきたモントリオール世界映画祭の新たな価値を考える機会が来ていたのかもしれない。

 日本からは、大竹しのぶ主演の『後妻業の女』、阿部寛天海祐希が夫婦役を務めた『恋妻家宮本』、中井貴一長澤まさみ志田未来出演の『グッドモーニングショー』、宮沢りえ主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』、劇団EXILE・青柳翔主演の『たたら侍』、ドキュメンタリーでは『氷の花火 山口小夜子』『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』などが出品されている。(取材・文:芳井塔子)

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