京大准教授がまさかのベネチア映画祭デビュー!盛大な拍手で迎えられる!
第73回ベネチア国際映画祭
現地時間4日、第73回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されている映画『スピーラ・ミラビリス(原題)/ Spira Mirabilis』の公式上映が行われ、キャストの一人である京都大学の久保田信准教授が出席、上映後には盛大な歓声を浴びた。映画初出演の久保田准教授にとって、同映画祭への参加も今回が初めて。
本作は、イタリア人夫婦であるマッシモ・D・アーノルフィ&マルティナ・パレンティが、世界各国を舞台に、永遠なるものへの渇望を映し出したドキュメンタリー。修復工事が続いているミラノ大聖堂や、コミュニティーの危機に瀕するネイティブ・アメリカン居留地など、さまざまな場所でのそれぞれの活動を切り取る。そんな中で、久保田准教授は、日本で不老不死のクラゲの研究に没頭する“歌う”日本人科学者として登場する。
3年前におよそ1か月間の密着で本作の撮影が行われ、今回ようやく作品を初鑑賞したと明かす久保田准教授。「地球上の重大な元素で物語を作るっていうんだから、どうやって作るんだろうって思ったんだけど。命の連環でその中に取り込むための要素としてね。色んな木とか土とか命とか、それが若い時からだんだんと歳をとって循環していくという。なんとなくわかるようにうまいことつなげていましたね」と感心の様子。
初めてのベネチア国際映画祭出席を果たした久保田准教授だが、なんと2日(日本時間)にベネチア行きの航空券を受け取り、次の日に飛行機に乗ったのだという。「来てくださいとは言われていたんですけど、3つトラブルがあって、1つ目が実習中だったので」と准教授ならではの理由を笑顔で語る。
「ベネチアは31年前に来たんですよ。映画にも出てた小っちゃなクラゲを実は探しに来てたんですよ。イタリア中探して。でもベネチアにはいなかったんですけどね」「イタリアとは非常にご縁があって。ベニクラゲが若返るっていうのを最初に発見したのもイタリアの先生なんですよ。わたしの友達なんですけど。彼らも今回僕がこうやって(映画祭に)やってくるって知って、『ブラボー!』って言ってくれています」とイタリアとの縁についてしみじみ。
世界三大映画祭の一つである本映画祭のレッドカーペットを歩いたことに、「みんなが(北野)武さんが歩いたところだよって教えてくれて。インタビューのフラッシュとか多くて、華やかなところだなと思いました」と満面の笑み。「夢があるからこそ人間は生きられるので、昔から(人間は)SFを叶えてきたじゃないですか」「わたしは生物が好きなんで、ずっと生物をやって、地球の生物を極めたら、宇宙に行きたいんですよ。宇宙生物をね。果てしない夢があるんですけどね、100年くらいで死んでしまったら……。うーん。悔いが残るね。アハハハ」。そう語る久保田准教授からみなぎる永遠への憧れは、本作でもユニークな形で観る者に余韻を残す。(編集部・石神恵美子)
第73回ベネチア国際映画祭は現地時間9月10日まで開催