マーティン・スコセッシが語る監督の仕事の90%とは?ジョン・クラシンスキーが見習ったこと
テレビドラマ版ジャック・ライアンを演じることになった注目の俳優ジョン・クラシンスキーが、監督作『ザ・ホラーズ(原題) / The Hollars』について、8月17日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
出版社で働くグラフィックノベル作家志望のジョン・ホラー(ジョン・クラシンスキー)は、長年のガールフレンド(アナ・ケンドリック)が妊娠したものの、結婚をためらっていた矢先、母親(マーゴ・マーティンデイル)が脳腫瘍であることを知り、オハイオ州に帰郷する。しかし、母親だけでなく会社が倒産寸前の父親ドン(リチャード・ジェンキンス)と会社を首になった兄ロン(シャールト・コプリー)などさまざまな問題を抱えた家族が待ち受けていた。
主演兼監督のジョンは「あるドキュメンタリー作品でマーティン・スコセッシ監督は、『監督としての仕事の90%は、的確なキャスティングをすること』と語っていた。僕自身も、今作を手掛ける上で、それをしなければならなかった。母親役は最初からマーゴが第1候補だった。彼女とは16年前にバッグの『マーシャルズ』のCMで共演したんだ。それが僕の初作品で、その後彼女の作品をずっと観てきた。母親役は、今作のストーリーにおいて生命線のようなもので、そんな役でマーゴをキャスティングするのは重要だった」と明かした。
映画内にはアナの「リップシンクバトル」(口パクのバトル)がある。「当時僕は出演予定だったジミー・ファロンのトーク番組で何か特別なことをやろうと思ったんだ。そこで妻エミリー・ブラントと友人と共に車で自宅に戻ろうとしていたとき、エミネムの楽曲『ルーズ・ユアセルフ』をリップシンクしようと提案し、僕たちは口パクのバトルを車内で始めてゲラゲラ笑ったんだ」と振り返った。それ以来口パクにハマったジョンは、口パクで多くの番組に出演し、今作にも「リップシンクバトル」を含めたそうだ。
演じながら監督することの難しさについて「不思議なことに、演じていたことが、監督の手助けにもなった。なぜならほとんどのシーンは、他の俳優陣と共に演じていたため、俳優としてあるいは監督としてベストな決断をすることが、全て正しい感覚であると理解できたからだ。それに俳優陣が素晴らしい演技をするから、僕も感情的になれて、後は監督として正しい位置にカメラを配置すれば、良い映画が作れると思った」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)