渡辺謙、男泣き!トロント映画祭で『怒り』ワールドプレミア
第41回トロント国際映画祭
現地時間10日、第41回トロント国際映画祭で渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡ら豪華共演で話題の映画『怒り』のワールドプレミアが行われ、宮崎、李相日監督と共に公式上映に参加した渡辺が、観客からの大きな拍手を受けて感極まった様子で男泣きした。
『悪人』に続き、李監督が再び吉田修一のミステリー小説を映画化した本作。現場に「怒」という血文字が残された未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に、それぞれの場所で前歴不詳の3人の男と出会った人々が“彼がその犯人なのか”と疑念と信頼のはざまで揺れる姿を描く。渡辺は、娘(宮崎)を深く愛しながらも長いことボタンの掛け違いがあった父親というこれまで以上に感情的に深い役柄に挑んでおり、全身全霊で打ち込んだ撮影を「簡単ではく、楽しくはなかった」と振り返っていた。
上映後のQ&Aで舞台に上がった後も涙をこらえ、「言葉を見つけるのが難しい……」と絞り出すように語り、さらに大きな拍手を贈られていた渡辺。その後の囲み取材では「1回目に観たときよりも、ものすごく温かいものを感じたんです。最初はどうしても暴力だとかつらい方に心を奪われてしまいますが、2回目を観たときにこの監督は本当に優しい人なんだ、温かいものを届けたいんだな、というのをすごく感じたんです。それに胸倉をつかまれた感じがあって、ホロっとさせられました」と打ち明け、「もちろんその後にたくさん温かい拍手をいただいたので、『すごい映画なんだな、この映画は』と再確認しました」と海外の地であらためて作品の真価に触れることができたと続けた。
同じく鑑賞するのはこれが2回目だったという宮崎も「また前回とは違うところで感情を動かされました。今回はお父ちゃん(渡辺)の思いがすごく伝わってきて、悲しくなったり、申し訳ない気持ちになったりしながら観ていました」と瞳をうるませる。李監督も「(観客と一緒に映画を観ると)どうしても後頭部を見てしまうのですが、最初は笑ったり、緩い感じで観ていたのが、映画が進むにつれてどんどんどんどん皆が皆、スクリーンに真っすぐ向いていっていて」と確かな手応えを感じたようだった。(編集部・市川遥)
第41回トロント国際映画祭は現地時間18日まで開催
映画『怒り』は9月17日より全国公開