オダギリジョー、主演なのに不在!マンネリ化した舞台あいさつに光を射す?
俳優の蒼井優と松田翔太が17日、テアトル新宿で行われた映画『オーバー・フェンス』初日舞台あいさつに北村有起哉、満島真之介、松澤匠、山下敦弘監督と共に出席した。この日は主演のオダギリジョーが、阪本順治監督の映画『エルネスト』の撮影でキューバに行っているために不在。「前代未聞で、謝ることしかできません」と置手紙を残しつつも、「この事態をもしも良く捉えようとするならば、マンネリ化した舞台あいさつのあり方に新たな光を射したのかもしれませんね」と状況を逆手にとり、会場を沸かせていた。
劇中のオダギリを切り出したパネルをはさんで始まった舞台あいさつ。蒼井が「この作品に出演したことにより、自分は何が好きで、何が好きじゃないのかを教わりました。わたしはこの映画のような小さな公開規模の作品からキャリアをスタートさせました。こうした小さな幸せが描かれている作品が好きなんです」と語ると、松田も「オダギリさんや蒼井さんは、絶対一緒に作品を作りたいなと思っていた方々」と笑みを浮かべた。
松田にとっては役柄の関係で、撮影中はモヤモヤする部分もあったそうだが「出来上がった作品がすごくポジティブになっていて、大きな衝撃を僕に与えてくれました。まだまだ自分は大人だと思っていませんが、少しは役者として成長できたのかなと感じています」と感慨深い表情を見せた。
蒼井は「この映画に対してもう出来ることがないぐらい全てのカードを切りました。オダギリさんのパネルのクオリティーを見ればわかるように、宣伝費に予算をかけられないぐらいの規模の映画なんです」とユーモアを交えて語りだすと「観てくれたみなさんがカードを受け取って、色々な人に配ってくれたらうれしいです」と客席に訴えかけていた。
本作は、1985年に芥川賞の候補作となった佐藤泰志の「オーバー・フェンス」を、映画『苦役列車』の山下監督で映画化。妻に愛想をつかされ函館に戻ってきた主人公・白岩(オダギリ)が、職業訓練校に通う単調な日々の中、友人の代島(松田)に誘われたキャバクラで出会った女性・聡(蒼井)に惹かれていくことにより、日常が変化していくさまを描いた物語。第21回釜山国際映画祭への出展をはじめ、香港アジア映画祭、サンディエゴ・アジアン映画祭、ハワイ国際映画祭など海外映画祭での上映が決まっている。(磯部正和)
映画『オーバー・フェンス』は全国公開中