初の女性監督受賞!国際映画批評家連盟賞グランプリの栄誉
本年度の国際映画批評家連盟賞グランプリにマーレン・アデ監督『トニ・エルドマン(原題) / Toni Erdmann』(ドイツ・オーストリア)が選ばれ、スペインで開催中の第64回サンセバスチャン国際映画祭で現地時間の17日、授賞式が行われた。アデ監督は現地入り出来なかったが、主演男優のピーター・シモニスチェクとプロデューサーのジャニーン・ヤコウスキが代わりに記念のトロフィーを受け取った。
国際映画批評家連盟は世界の映画ジャーナリストが所属しており、1999年から年間グランプリを設置。これまでスペインのペドロ・アルモドバル監督『オール・アバウト・マイ・マザー』(1998)を皮切りに、ジャン=リュック・ゴダール監督『アワーミュージック』(2004)、テレンス・マリック監督『ツリー・オブ・ライフ』(2011)と巨匠たちが栄光を手にしてきたが、女性監督の受賞は初めてとなる。
壇上でヤコウスキはアデ監督のメッセージを代読し、「選んでくださった皆様に感謝を申し上げるのと同時に、初の女性監督の受賞を聞き、大変光栄に思います」と喜びのコメントを寄せた。
『トニ・エルドマン(原題) / Toni Erdmann』は本年度の第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、批評家から高い評価を受けるも無冠に終わったが、アカデミー賞外国語映画賞のドイツ代表に決定した。これまで年間グランプリを受賞したミヒャエル・ハネケ監督『愛、アムール』(2012)、リチャード・リンクレイター監督『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)、ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)はアカデミー賞を始めとする賞レースで旋風を巻き起こしており、本作も大きな期待ができそうだ。
『トニ・エルドマン(原題) / Toni Erdmann』は2017年に日本公開が予定されている。(取材・文:中山治美)
第64回サンセバスチャン国際映画祭は9月24日まで開催