カンヌ受賞の深田晃司監督、かつて落選したぴあ映画祭にリベンジ!
浅野忠信が主演し、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した映画『淵に立つ』が、都内で開催の第38回PFFぴあフィルムフェスティバルにてクロージング上映され、舞台あいさつに深田晃司監督が登壇した。PFFコンペティション部門に応募し、落選したことがある深田監督は「負け犬に勇気を与える上映会と思って受け止めていただければ」と観客に呼びかけ、笑いを誘った。
1999年に東京・渋谷にある映画美学校に入学し、映画を学んだ深田監督は「80人の生徒のうち4人が修了制作(の監督)に選ばれるんですけど、惜しくも漏れてしまったので、しょうがないから100分の自主映画を作って『ぴあ』に出したんですけど落ちたんです。落選歴があるんです」と告白。さらに、「一度、編集が終わらないけど締切だから出したら落ちて、それでもしつこく1年間編集し直して『完成版だ。どうだ!』と出したら最終選考まで残ったけど、やっぱりダメで……」と詳しく説明すると、最終的には「“ぴあ恐怖症”になった」と苦笑した。
しかし、そんな深田監督の作品がついにPFFクロージング作品として上映されることに。MCを務めたPFFディレクター・荒木啓子氏は「今年の最終審査員の沖田修一(監督)さんも(過去に)PFFには落ちています。そういう方はたくさんいらっしゃるけど、結局、何を作りたいかをつかんでいる方は諦めないということだと日々思っております」と感慨深げに語り、深田監督のカムバックを静かに喜んだ。
本作は、未だかつて誰も見たことのない衝撃の家族ドラマ。平穏な毎日を送る鈴岡家が、突如現れ、奇妙な共同生活を送ることになった前科を持つ男・八坂草太郎(浅野)に翻弄されるさまを描く。この日は、鈴岡夫妻を演じた筒井真理子、古舘寛治も来場した。(取材/錦怜那)
映画『淵に立つ』は10月8日より有楽町スバル座ほか全国公開