黒澤明の美的感覚が消えない!スピルバーグが影響語る
スティーヴン・スピルバーグ監督とディズニーのコラボレーションで話題のファンタジーアドベンチャー『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』に登場する「夢の国」のシーンが美しいと評されている中、スピルバーグ監督がそのシーンについて語るうえで黒澤明からの影響を明かした。
【動画】幻想的!『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』
本作は、スピルバーグがロアルド・ダールの児童文学「オ・ヤサシ巨人BFG」を原作に、孤独な少女ソフィー(ルビー・バーンヒル)と心優しい巨人BFG(マーク・ライランス)の友情を描く。なんといっても、子供たちに夢を届ける“夢の配達人”の顔を持つBFGが、夢のもとを採取するため、ソフィーと「夢の国」を訪れるシーンは、とても幻想的。「夢の国」には、巨人のBFGすら小さく見えてしまうほど壮大な木「ドリーム・ツリー」があり、その木から色とりどりに輝く夢たちが生み出され、光を放って飛び回るさまにただただ引き込まれる。
そんな圧巻の映像美を創り出したスピルバーグ監督は、そのシーンについて「(『夢の国』は)一つの特定のイメージがあるわけではないです。おそらく、他のフィルムメーカー同様、私にも、ずっと作品を尊敬し続けている監督がいまして、その一人は昔から黒澤明でした」と日本を代表する巨匠の名をあげる。
「25年以上前に、私は彼の映画『夢』の製作にたずさわりましたが、それは私の人生における素晴らしい名誉の一つでした。彼が現実に見た夢をスクリーン上に描き出してみせる様子を見て魅了させられました」と黒澤監督との日々を振り返り、「あの映画をご存知かどうか分かりませんが、あの作品は8話で成り立っています。つまり8つの夢ですね。しかし、彼の持っていた美的感覚-野原、うねる山々、色、富士山、海、そしてもちろん木々-は、すべて夢の孤独感の中に彼が見出した美しさを見せるためのものでした」と解釈も披露。
続けざまに「あの映画のどれか特定のイメージということではなく、あれほどマジカルなものは、記憶や潜在意識から消失することはなかなか想像できないのです。彼は本当に素晴らしかったですね」と今もなお心に残り、インスピレーション源になっていることを語った。(編集部・石神恵美子)
映画『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』は全国公開中