衝撃作『怒り』の渡辺謙、映画祭で流暢なスペイン語を披露!実話に基づく新作にも言及
スペインで開催中の第64回サンセバスチャン国際映画祭コンペティション部門に出品された『怒り』(公開中)の公式記者会見が現地時間23日に行われ、李相日監督と主演の渡辺謙が登壇した。渡辺は冒頭「カイショー、ドノスティア」(こんにちは、サンセバスチャン)と地元のバスク語で挨拶し、記者たちの心をつかむと、続いて「サンセバスチャン国際映画祭に選んでいただき大変光栄です。観客の反応を楽しみにしています」と流暢なスペイン語を披露し、会場から拍手が起こった。
【写真】『怒り』の監督&主演コンビ、サンセバスチャン国際映画祭に登場!
同作は吉田修一の同名小説が原作で、一つの殺人事件が、別々に暮らす3か所の人々の人間関係に影響を及ぼしていくミステリー。タイトルの意味や、役づくりにおける苦労話などの質問もあったが、国際映画祭らしく「(感情表現などは)日本映画というより韓国映画と非常に近いものを感じましたが?」という問いも。
それに対して李監督は「それは僕が韓国人だからでしょうか。文化的には日本に育っていますけど、血ですかね。すぐに怒ってしまう」と、飄々と答えた。
記者陣は音楽を坂本龍一が担当していることにも着目。コラボレーションをした感想を問われると、李監督は「坂本さんもすごく情熱的な方で、ニューヨークと日本を行き来しながらかなりコミュニケーションをとりました。彼が奏でる世界は、美しいのになぜか残酷に聴こえます。さらに、この映画が訴えようとしている『怒り』というタイトルについて、人間はその感情から先にどういけるのか? というのを、音楽で表現してくださったことに敬意を感じます」と説明。ちなみに主題曲のタイトルは「許し」だが、これは坂本自身が付けたという。
会場には、日本のアニメーションや武道に触れて日本語が堪能な人も多く、渡辺に「ケンさん! 次のプロジェクトは何ですか?」と日本語で質問するチャレンジャーもいた。渡辺は「日本の仕事が続いたので、次は久々に海外の作品に出演します」と、1996年にペルーで起こった日本大使公邸占拠事件をモチーフにした小説「ベル・カント」を原作にした新作で、ジュリアン・ムーアと共演することを明かした。
映画『怒り』の公式上映は現地時間23日夜に行われ、24日にはコンペティション部門の受賞結果が発表される。(取材・文:中山治美)
映画『怒り』は全国東宝系にて上映中
第64回サンセバスチャン国際映画祭は9月24日まで開催