『スター・ウォーズ』中国じゃなくアジア代表!チアン・ウェン、シリーズ未見のワケ
映画『スター・ウォーズ』シリーズ最新作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(12月16日全国公開)で、ドニー・イェンと共にアジア人で初めてシリーズ主要キャストに起用された中国の俳優で映画監督のチアン・ウェンが、本作への思いを語った。
『紅いコーリャン』などで中国を代表する俳優として知られ、香川照之を起用した『鬼が来た!』など映画監督としても国際的な評価を得るチアン。彼が演じるベイズ・マルバスは、ドニーふんする盲目の戦士チアルートとあつい友情で結ばれている戦士。フォースの存在を信じるチアルートよりも現実的な性格で、反乱軍の特殊部隊「ローグ・ワン」の一員として巨大な赤い甲冑とブラスターを頼りに、帝国軍の宇宙要塞デス・スターの設計図奪取に挑む。
実は『スター・ウォーズ』シリーズを観ていないというチアンは、「でも、僕が悪いわけではないんですよ」と苦笑。シリーズ1作目『スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望』(1977)が公開された当時について「そのころは冷戦時代。中国でアメリカの映画を観ることはできなかったんです。その後、冷戦が終わり『スター・ウォーズ』がやってきた」と語る。
ただ、未見であることは問題にはならなかったといい、「ギャレス・エドワーズ監督とスカイプで話をした時、監督の後ろに『地獄の黙示録』と『スター・ウォーズ』のポスターが貼ってあったんです。そこで監督に『地獄の黙示録』は大好きで何度も観たと伝えたら、『ローグ・ワン』は『地獄の黙示録』みたく、本当の戦争のように撮ると言われました」と明かしたチアン。撮影もリアリティーを重視して進められ、「SFファンタジーだと聞いていましたが、実際には現実の世界に近い物語を撮っている感覚でした。(CG合成用の)ブルースクリーンの前で演技することも少なかった」と振り返った。
ドニーとチアンのキャスティングは、製作陣が巨大な中国映画市場を意識したものとも考えられるが、チアン本人は「自分はそんなことを意識したことはありません」と断言。「僕には日本人の友人もたくさんいますし、日本の文化も日本食も好き。子供のころ、戦後も中国にとどまった日本人のご婦人が近所に住んでいましたしね。とてもタフな人だった」と明かす。
さらに「実際、日本人も中国人もどこが違うというのでしょうね? 僕は自分たちはアジアのひとつの家族だと考えるようにしているんです。」と続けたチアンは、「ある本で読んだのですが、そもそもジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』を作ったとき、黒澤明監督の作品からインスピレーションを受けたんですよね。それが正解なのでは。製作陣はきっと、僕を日本人だと思ってオファーしたんじゃないかな(笑)」と本作にも日本へのリスペクトが込められていることを明かしていた。(編集部・入倉功一)