外国人記者から拍手・喝采!古舘寛治&筒井真理子、流ちょうな英語であいさつ
第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を獲得した映画『淵に立つ』の試写会が28日、有楽町の日本外国特派員協会で行われ、深田晃司監督、古舘寛治、筒井真理子らが出席、外国人記者からの質問に答えた。
ごく平凡な夫婦の前に現れた1人の男によって、平穏だった日常に不協和音が響きわたるさまを描いた本作。黒沢清、是枝裕和、河瀬直美らカンヌ常連監督に続く若い才能として世界から注目される深田監督の新作とあって、会場には大勢の外国人記者が来場した。
筒井は「皆さん、今夜はご来場いただきましてありがとうございます。この場に来られて大変うれしいです。映画を楽しんでいただけたでしょうか? 人生は短いと言いますが、芸術は非常に長いものです。ぜひ皆さんと意見交換ができたらなと思っています」と英語であいさつし、会場の拍手を集めた。
一方の古舘も20代の時にニューヨークへ演技留学した経験の持ち主とあって流ちょうな英語を披露。「彼女の後だと緊張しちゃうね」と笑顔を見せながら、「ここには観客として、しばしばやって来たことがあるんですが、今日は登壇させていただけることになって、とてもうれしいです」と話して喝采を浴びた。
会見中は、記者から「構図が印象的だった」という指摘も飛び出し、それに対して深田監督は「わたしにとって重要なのはカメラと被写体の関係。モチーフをにごらせないように、なるべく正面から、目線の高さで撮るようにしています。わたしの映画では顔のアップはほぼ撮っていないはずです」と返答。
さらに「着想の原点は?」という質問には「描きたかったのは、わたしたちの日常を唐突に破壊する暴力。この映画を着想したときは東日本大震災前でしたが、事故でも自然災害でも、唐突に日常が破壊されてしまう。そういった暴力性を描きたかった。今年は直接的な暴力を描く日本映画が多かったですが、それとはまた違った視点で暴力を描けたかなと思います」と本作に通底するテーマを語った。(取材・文:壬生智裕)
映画『淵に立つ』は10月8日より全国公開