マット・デイモン、降板した役にケイシー・アフレックを切望!オスカー候補の役とは? - ニューヨーク映画祭
第54回ニューヨーク映画祭で上映されたオスカー候補の新作『マンチェスター・バイ・ザ・シー(原題) / Manchester by the Sea』について、ケネス・ロナーガン監督が9月30日(現地時間)ニューヨークのリンカーンセンターのウォルターリード・シアター開催の記者会見で語った。
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ボストンで便利屋として暮らすリー(ケイシー・アフレック)は、短気な性格でさまざまな問題を起こしていた。ある日、兄ジョー(カイル・チャンドラー)が心臓発作で亡くなったため、ジョーの息子パトリックの後見人に選ばれ、面倒を見ることになるが、リーは元妻ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)との間に深い闇を抱えていた。映画『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』(日本未公開)のケネス・ロナーガンがメガホンを取った。
まず主演ケイシーとのタッグについて「(タッグを組む前から)彼のことをずっと特別な俳優だと思っていた。彼とはロンドンの舞台『This is Our Youth』で最初にタッグを組んだ。当初、マット・デイモンがリー役を演じる予定だったが、スケジュールの都合で彼は降板してしまった。だが、親切にもマットはケイシーに依頼してくれないかと僕に言ってきたんだ。これまで、これほど俳優と身近に、集中して仕事をしたことがなく、彼との仕事は本当に楽しかった」と感謝した。
映画内では、元妻ランディがリーの過去を許そうとするが、リーがそれを拒否するドラマチックなシーンがある。「二人とも素晴らしい演技を披露してくれた。あのシーンまでに、二人はお互いを理解し、それぞれのシーンを把握してきて、僕がほとんど演出する必要がなかった。それに、今作の撮影数週間前からリハーサルを行って、それぞれのシーンで議論をしてきた。撮影時は二つのカメラを使用したが、(そのリアルなシーンは)見ているのがつらかった」と振り返った。
舞台脚本家でもあるケネスが、異なる媒体である映画で今作を描こうと思ったのは「舞台の場合は、劇場のイメージや状況を考えてから、次にニューヨークのアパートメントなど場所の設定を決めていくが、僕がこれまで手掛けてきた3本の映画では、環境の意味合いや(映像的に)映画的であることが重要だった。今作では海辺や寒さ、家族関係が重要だった」と語る通り、それらが映画の鍵を握っている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)