人類は滅亡するの?未来を幸せに暮らすための“提案型ドキュメンタリー”
フランスで公開されるや口コミが広がり大ヒットを記録し、フランスで最も権威のあるセザール賞ベストドキュメンタリー賞に輝いた映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』から予告編が公開され、人類滅亡を避けるための方法を探しに世界を回る旅の一端がお披露目された。
2012年、権威ある学術雑誌「ネイチャー」に21人の科学者たちが、今のライフスタイルを続ければ、人類は滅亡するという論文を発表。その衝撃の事実を知り、『イングロリアス・バスターズ』などのフランス人女優メラニー・ロランが、活動家・ジャーナリストと多彩な顔を持つ友人のシリル・ディオンと一緒に、未来を幸せに暮らすためのライフスタイルを求めて世界へと旅に出た。
この度公開された予告編は、妊娠中のメラニーが衝撃の事実を知り、「息子は水も食糧もほとんどない世界で暮らすのか」と思いを巡らせるモノローグで始まる。「何とかしなきゃ」と決意した彼女は、解決策を求め世界中を回り、そこに生きる人々のライフスタイルや取り組みに触れていく。道や花壇をみんなの菜園にしたり、テストがない驚きの教育方法を実践していたり、旅先で出会う人々は決して大きなことをしているわけではなく、豊かな生活のために小さな行動を起こしているだけだった。誇らしく自らの取り組みを語る人々や無邪気な笑顔をふりまく子供たちの姿が印象的だ。
「農業」「エネルギー」「経済」「民主主義」「教育」の5つの分野を渡り、パーマカルチャー(永遠に持続可能な農的な暮らしの生活デザイン)、トランジション・タウン(地域の資源を最大限に活用しながら脱石油型社会へ移行を目指す運動)、ゼロ・ウェイスト(ごみを出さない考え方)など、世界中の新しい取り組みを行っているパイオニアたちが続々と登場。人類滅亡を招く“悪”を告発するのではなく、滅亡しない方法を見つけるというポジティブな視点で描かれたドキュメンタリー。自分なら何ができるのだろうか? とそっと肩を押してくれるような一作だ。(編集部・石神恵美子)
映画『TOMORROW パーマネントライフを探して』は12月、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開