史上最年少で芸術の殿堂に挑んだ男…天才振付師ミルピエ
世界最高峰の芸術を提供し続けてきたバレエの殿堂パリ・オペラ座で、史上最年少にして芸術監督に抜てきされた振付師バンジャマン・ミルピエを追ったドキュメンタリー『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』から予告編が公開され、映画『ブラック・スワン』の振付が縁で結ばれた、“妻”ナタリー・ポートマンの姿がチラリとお披露目されると同時に、彼の異端ともいえる伝統に対する姿勢も明らかになった。
本作は、ミルピエが芸術監督として手掛ける新作公演「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」完成までの40日間に密着し、パリ・オペラ座の貴重なバックステージをスタイリッシュに映し出す。階級制度を否定し、エトワールではなく若手ダンサー達からメンバーを選び、長い歴史の中で初めて黒人ハーフダンサーを主役に起用するなど、伝統ある名門に大胆な変化をもたらしていくミルピエ。
この度公開された予告編は、37歳という若さでパリ・オペラ座の芸術監督に就任したミルピエの紹介で始まる。ナタリー主演の『ブラック・スワン』でミルピエが振付を担当したことをきっかけに、夫婦となった2人。ナタリーが、ミルピエの隣でほほえむ貴重なショットも含まれている。
続けて、オペラ座の伝統に対し、「階級制度は必要ない」「差別的な考えは破壊すべきだ」と持論を展開し、国籍や階級に関係なく自らが選んだ若手ダンサーたちを表舞台へと率いていくミルピエの姿が映し出される。そんな彼の果敢な挑戦に対し、ダンサーのけが、ストライキや衣装の不具合など次々にトラブルが起こり、ミルピエは追いこまれていく。
ビョークの「メダラ」などに参加したピアニストのニコ・マーリー、レディー・ガガとのタッグでも知られる気鋭のファッションデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルペンといった、各界を代表するアーティストたちがともに公演をつくりあげる様子も切り取られ、創作する喜びを刺激する映像となっている。豪華絢爛な装飾のガルニエ宮を舞台に、レオノール・ボーラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェなど、次世代スターダンサーたちの躍動する美しい演技も見どころだ。(編集部・石神恵美子)
映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』は12月23日よりBunkamuraル・シネマほかにて公開