スコセッシ、窪塚洋介&浅野忠信とは以心伝心レベル!
マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作さんの小説を映画化した『沈黙 -サイレンス-』の来日記者会見が19日に都内で行われ、スコセッシ監督はキャストの窪塚洋介、浅野忠信とともに登壇すると、2人とは「通じ合うものがあった」と息の合った様子を見せた。
キリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる江戸時代初期の日本にやってきた宣教師が、信教を貫くのか、それとも棄教を宣言して使徒を救うのか、厳しい選択を迫られるさまを描き出した本作。スコセッシ監督が1988年に遠藤周作の小説「沈黙」に出会ってから28年、制作延期、権利問題など幾多の困難を乗り越え、ようやく完成させた念願のプロジェクトとなる。
世界初上映となるおよそ15分の特別フッテージ上映を実施後、会場に現れたスコセッシ監督は「長い歳月を経て、その間、わたしは父になり、夫になり、そしてフィルムの修復活動を経て成長しました。この長い期間がこの原作が表現したいものは何なのか、考える時間となりました」と述懐。「この映画の意識的なテーマは文化の違い、そして衝突です。この映画については、語り尽くせないほどに言いたいことがたくさんあるが、その前に作品を観てもらわないといけないですね」と付け加え、笑ってみせた。
劇中で通訳役の浅野を始め、今回のキャスティングに関しては「わたしは日本映画をたくさん観てきたから、なじみのある人たちばかりだった」というスコセッシ監督。キチジロー役の窪塚の出演作は観たことがなかったというが、「オーディションを見て、即決だった」という。そんな二人に対して「わたしは日本語を話せないが、二人とは言葉にしなくても通じ合うものがありました」と全幅の信頼を寄せている様子だった。
スコセッシ監督の演出ぶりについて聞かれた窪塚は「クランクインした時、監督はキレイなスーツを着ていたんですけど、酒場の薄汚れた階段にもスーツのまま座って演出されているのを見て、僕はスーツが汚れちゃう! と心配したけど、関係ないんだなと思って」とコメントし、スコセッシ監督も大爆笑。さらに「こんなにも情熱メラメラな人なんだなと思いました」と付け加えた窪塚に、スコセッシ監督も「サンキュー・ソー・マッチ」とうれしそうな表情を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『沈黙 -サイレンス-』は2017年全国公開