魅力的な娘の登場で感情がもつれ…思わぬ事態に 『胸騒ぎのシチリア』制作秘話
ティルダ・スウィントンとレイフ・ファインズが共演した話題作『胸騒ぎのシチリア』(日本公開中)について、ルカ・グァダニーノ監督が4月21日(現地時間)、ニューヨークのパーク・ハイアット・ホテルで語った。
痛めた声帯を休めるために、ロックスターのマリアンヌ(ティルダ)は年下のフィルムメイカーの恋人ポール(マティアス・スーナールツ)とイタリアの避暑地でバカンスを過ごしていた。だが、彼女の元恋人で音楽プロデューサーのハリー(レイフ)が魅力的な娘ペネロペ(ダコタ・ジョンソン)を連れて押しかけてきたことから、彼女の内に秘めていた過去の感情がもつれ始め、思いがけない事態を招くというドラマ。アラン・ドロン主演作『太陽が知っている』を、『ミラノ、愛に生きる』のグァダニーノ監督が新解釈した。
火山島であるイタリアのパンテッレリーア島での撮影は、キャラクターの感情の爆発にも反映されているようだ。「マリアンヌはハリーへの感情を最初は否定しようとするが、そんな感情の力を押さえつけることはできない。最終的には、感情が火山のように地面を打ち破っていく。われわれの本質は人との絆や選択した相手との共存にあるが、逆にもし共に居る配偶者や恋人と時を過ごしたくないと思ったら、どうなるかを探索してみたかった」と製作理由を明かした。
『ミラノ、愛に生きる』以来のティルダとの再タッグについて「僕と彼女は自分の好きなことに関して、似たようなアプローチを取っている。彼女の全てを映画に捧げる勇気とコラボレーションによってもたらされる知性は、今作に反映されているはずだ。さらに彼女は、僕がドラマ性よりもリアリティーを追求していることを知っていて、彼女自身もそれを好んでいる」と共通点が多く、仕事がしやすいことを語った。
若手女優ダコタについて「僕は個人的に、彼女はアメリカの宝だと思っている。まるで年配の女性のように賢く、美しくバランスの取れた女優だ。特に彼女は、演技の予測ができないところが素晴らしい。それぞれの世代には、似たような俳優が存在したりする。例えば1970年代にシルヴェスター・スタローンが活躍していたが、同世代に似たような俳優がたくさんいた。だがダコタの世代には彼女と似たような女優がいないと思う。それに、彼女は(両親二人とも俳優という)素晴らしいDNAを持っている」と高く評価した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)