トム・フォード監督、待望のミステリー『ノクターナル・アニマルズ』
『シングルマン』で長編映画監督デビューを果たしたトム・フォードが、新作『ノクターナル・アニマルズ(原題) / Nocturnal Animals』について、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソンと共に、11月18日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
アートギャラリーのオーナーのスーザン(エイミー)は、前夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼の小説の原稿を渡され、書評を求められる。しかしその小説は衝撃的な内容で、不安を覚えた彼女は、別れて20年経つ前夫の真意を模索する。エドワードの著書に登場する捜査官ボビーをマイケル、殺人犯レイをアーロンが演じる。作家オースティン・ライトの小説「ミステリ原稿」を映画化。
前夫エドワードが書いた衝撃の小説について「スーザンの住むL.A.とは異なるテキサス西部が舞台で、とても感情をあらわにした内容が記されている。その小説ではマイケルが善人で、アーロンが悪人を演じている。エドワードはこの衝撃的な内容を通して、スーザンが彼にしたことを彼女に思い返させるんだ」とトムが説明した。
エドワードの小説に登場する捜査官役のマイケルは「僕は(「ゲッタウェイ」などの)小説家ジム・トンプソンの大ファンで、成長期に彼の作品を読んで育った。このボビーは、そんなジム・トンプソン作品の世界のキャラクターをほうふつさせた。トムは脚本の執筆を含め、時間をかけて今作を制作した。もちろん、これはオースティン・ライトの原作だが、トム自身もパーソナルなストーリーを、今作で心の底から感動的に伝えようとしている。それは主人公のスーザンだけでなく、すべてのキャラクターにも投影されている」と称賛した。
アーロンはこのダークな役について「この役を通して、ダークな役を探索するという真のチャレンジの機会が与えられた」と語り、殺人鬼のドキュメンタリーを鑑賞したことも明かした。一方、アートギャラリーのオーナー役のエイミーは、実の夫が俳優兼画家だ。「わたしの夫のアート作品は、今作で描かれるモダンアートとは異なるけれど、わたしたちは頻繁に、アートとアーティストの本質について話をするの。彼は自分のことをアーティストと思っているけれど、わたしは自分のことをアーティストだとは思わなくて、それがスーザンと似ているわ」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)