ハリポタ新シリーズ、“杖の傘”はエディ・レッドメインのアイデア!
映画『ハリー・ポッター』の新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のデヴィッド・イェーツ監督が来日し、制作の裏話を語った。
魔法動物がたくさん入ったトランクを手にニューヨークへと降り立った魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が繰り広げる冒険を描いた本作。「アクシオ、来い」や「アロホモーラ、開け」など『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみの呪文も使われるが、本作ならではの印象的な魔法も登場する。それが、雨のときに杖先から透明な傘のようなものを出す魔法、イェーツ監督いわく「ワンダブレラ(wand杖+umbrella傘)」だ。
「すごくラブリーなアイデアだよね! 素晴らしい、ファビュラスだよ」とかなり気に入っている様子のイェーツ監督によると、この魔法は“飛ぶと嵐を巻き起こす”魔法動物サンダーバードのフランクのシーンで、エディ自ら生み出したものとのこと。「フランクとのシーンをリハーサルしていて、エディはびしょ濡れになる予定だった(笑)。雨が降っているからね。そうしたらエディが僕の方を振り返って『デヴィッド? 僕は杖を持っているよ。これを傘に変えられるんじゃないかな?』って言うから、『もちろんできるよ! 魔法なんだから!』って。それで彼は杖を上に上げて……。僕はこのイメージが好きだ。魔法使いが傘を持って立っているというね」と楽しげに振り返った。そしてこの魔法は後半の重要なシーンでも使われることになった。
また、たくさんの動物たちが暮らすニュートの魔法のトランク内部も素晴らしくワクワクさせられる。「最初は本当に巨大で、宇宙並みの大きさの内装を作ったんだ。でもジョー(『ハリー・ポッター』シリーズの原作者で本作の脚本家J・K・ローリング)が来て、米国魔法議会(MACUSA)とかニューヨークとか魔法動物たちのコンセプトアートは気に入ってくれたんだが、スーツケースのアイデアを見たら『これはダンブルドアとかヴォルデモートといったパワフルな魔法使いが作ったものに見える。ニュートは普通の魔法使いなの。もう少し彼自身で作ったように見える必要があるわ』って。そこでデザインを変えてもうちょっとホームメイドっぽくした。素晴らしい案だったよ。彼女はこうしたことを本当によくわかっていて、よりリアルにしてくれるんだ」。
そしてファンタジー大作でありながら、キャラクターたちの関係性が丁寧に描かれているのも本作の魅力の一つ。イェーツ監督はそうしたケミストリーを引き出すため、時には「カット」と言わず繰り返し演じさせたのだそう。
「普通映画を作るときだと、『アクション』と言うと俳優たちがセリフを言って、『カット』と言うとメイクや衣装の人たち皆が走ってやってきて何もかも直しはじめる。そして10分後にまた『アクション』『カット』……。このリズムで何が起こるのかと言うと、俳優たちが“これは映画なんだ”と意識してしまうんだ。これを全部どかしてしまおうと思った。だから僕は、メイクも衣装も小道具の人も誰も入れない(笑)。『アクション』と言っていくつかのシーンをやったら、『このシーンもう1回』と休憩なしにやっていく。そうすると俳優たちはクルーのことや“これが映画だ”という事実を忘れはじめて、共演相手のことを見つけはじめるんだ。互いのことを見つけたら、そのときこそ真実のストーリーが紡げる。そういう意味では僕の仕事は、俳優たちに“技巧”については忘れさせて、互いのことだけを考えてもらえるようにすることだと思うんだ」。(編集部・市川遥)
映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は公開中