娘に合格点を取らせるため、裏工作に奔走する父親…ルーマニアの歪な社会を活写した『エリザのために』予告
第69回カンヌ国際映画祭で監督賞に輝いたクリスティアン・ムンジウ監督作『エリザのために』の予告編が公開され、娘に卒業試験で合格点を取らせるため、裏工作に奔走する父親の姿が明らかになった。
予告編は、愛娘エリザが暴漢に襲われたとの知らせを受け、ロメオが病院に駆けつけるシーンからスタート。エリザの精神的動揺は大きく、そんな娘の姿を見たロメオは、彼女のイギリス留学をかけた翌日の卒業試験を必ず成功させようと裏工作を決意する。良心の呵責(かしゃく)に苛まれながらも警察署長、副市長、試験官とありとあらゆるツテとコネを駆使して奔走するが、そんな父親の行動に不穏なものがあると感づいたエリザは反発し……。
娘のために道を踏み外す父親の姿を通して、不正がまかり通るルーマニアの歪な社会まで浮かび上がらせたムンジウ監督は、『4ヶ月、3週と2日』(2007)でのパルムドール、『汚(けが)れなき祈り』(2012)での脚本賞に続き、本作で3度目のカンヌ受賞を果たしている。(編集部・市川遥)
映画『エリザのために』は2017年1月28日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開