ディズニー名作『バンビ』タイラス・ウォンさん106歳で死去
不朽の名作アニメ『バンビ』に影響を与えたアニメーター、タイラス・ウォンさんが昨年12月30日(現地時間)、カリフォルニア州の自宅で106歳で亡くなった。自然死だという。娘キム・ウォンさんの話としてL.A.Timesが報じた。
タイラスさんは1910年に現在の中国広東省の台山で生まれ、9歳のときに父親と共に米国へ移住。その後、ロサンゼルスで美術学校オーティス・アート・インスティテュート(現オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン)に通い、1938年にウォルト・ディズニーに入社してスケッチ・アーティストとして活躍し始める。
転機が訪れたのは、アニメ映画『バンビ』で他のアニメーターたちが森林などのリアルなバックグラウンドのディテールにこだわっていたときに、彼は中国の絵画のような幻想的な世界を水彩で描いてウォルト・ディズニーに見せたところ、リード・アニメーターとして彼のアイデアが採用されたこと。その後、ディズニー・アニメーターのストライキのためディズニーを離れ、ワーナー・ブラザースに移った。ワーナーではおよそ25年間、映画『理由なき反抗』『ワイルドバンチ』などの絵コンテやセットデザインを担当し、1968年に引退。引退後も、ホールマークのクリスマスカードなどを描いていた。
彼を扱ったドキュメンタリー『タイラス(原題) / Tyrus』(2015年制作)では、アジア人としての当時の人種差別を語っていた。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)