やっぱ食へのこだわりスゴイ!竹中直人×孤独のグルメチームの新作現場
オレンジ色のライトに照らされた赤色のお肉が、網の上でジュウ……と焼けていく、その映像を撮るためだけに、スタッフたちが「煙を足してください」「あのときのお皿ってこれでしたか?」「(ビールの)泡が……」とせわしなく動き回る。「孤独のグルメ」チームが新たに手掛けるNetflixオリジナルドラマ「野武士のグルメ」の撮影現場は、食へのこだわりが詰まっている。
「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之が手掛けた「漫画版 野武士のグルメ」を、ドラマ「孤独のグルメ」のスタッフが実写化する本作。定年後の食生活に楽しみを見いだす主人公・香住武(かすみ たけし)を演じるのは、俳優の竹中直人。ドラマでは香住がうまい・まずいを問わずさまざまなメシに挑戦していくさまが描かれる。昨年10月下旬に撮影されたのは、香住が姪っ子と焼肉を食べに行く回。原作のすき焼きの回を改変したものだ。
以前から久住作品の実写化を企画していたという竹中は、すっかり同作のチームと打ち解けているよう。「孤独~」でおなじみの吉見健士プロデューサーとの出会いについて問われると、「『昼のセント酒』に呼ばれたときに、初めて吉見さんとお会いしたんです。その日はとても暑かったせいか、海パン一丁の人がいて、『なんだあの人……』と思っていたら吉見さんだったんです」とジョークを交えて話を進めるほどだった。だが撮影に入ると、“メシと向き合う”香住になる。
ドラマ「野武士のグルメ」では、実際に営業している店舗がロケ場所として使用されている。また調理のシーンでは、実際にその店で調理している料理人が出演しているのだそう。この日メガホンを取った藤井道人監督いわく、撮影ではフィクションとリアルのはざまを意識。今回の焼肉の回も、シナリオ上の35年前に香住が同じ店で同じ経験をしたという設定と合致する、新宿で35年間営業し続けている老舗の焼肉店を選んだ。実際の店舗を決めるまで、ロケハンのチームは4~5店舗の焼肉店を回ったという。
撮影中は、香住たちが食べる肉はもちろん、画面端に映るエキストラの食事までも考え抜いて画面を作る。「肉が網に乗ったときにどういう煙でどんな音が出るか、ということで食べ物の魅力は映像で見た時に深まるなと思うんです」と語る藤井監督。食べる順番から事細かにチェックしていく監督の演出に応えるように、カメラや音でその瞬間を切り取っていくことができるのは、食べ物に関してさまざまなチャレンジをしてきた「孤独~」のスタッフだからこそ。藤井監督は「すごく優秀なスタッフの皆さんなので、頼りにしながら撮影しています」と語っていた。
また本作は1週間に一度の放送ではなく、全話一挙配信という形式のドラマ。藤井監督は「いつどこでも観られる作品ということで、1話でつまらないと思われたら視聴者は離れてしまう。僕ら監督陣はテンポ感というか、いろんなことが次から次へと起きて、次も見たいと思わせることを脚本の段階と編集の段階で意識しています」と明かしていた。(編集部・井本早紀)
オリジナルドラマ「野武士のグルメ」は2017年3月17日よりNetflixで世界190か国同時ストリーミングを開始