オリヴァー・ストーン監督、3年半ぶりの来日もぼやき「カロウシ状態」
映画『プラトーン』『JFK』などで知られる名匠オリヴァー・ストーン監督が18日、都内で来日記者会見を行った。ストーン監督は一昨日3年半ぶりに来日。久しぶりの日本の感想を問われると、「日本が今、変わっているかなんてわかりません。ずっと、このホテルに缶詰状態ですよ」と答え、「まさに“カロウシ(過労死)”状態です」と社会派監督らしい日本語を交えてぼやいてみせた。
そんなストーン監督の新作映画『スノーデン』は、アメリカ政府による国際的な個人情報監視の事実を暴き世界を震撼(しんかん)させた「スノーデン事件」の全貌に迫る人間ドラマ。CIA(中央情報局)およびNSA(アメリカ国家安全保障局)職員だったエドワード・スノーデンがキャリアや恋人との幸せな人生を捨て、重大な告発を決意するまでの過程を描く。
「スノーデンの告発に関しては素晴らしいと思い、拍手喝采の気持ちではありましたが、当初は映画にしようとは思いませんでした」とストーン監督。「映画はそもそも時間がかかるもの。日々変わっていくニュースを追いかけるつもりはなかったのです」とその理由を説明したが、その後スノーデンの弁護士を通じてモスクワに赴き、彼と2年にわたって9回面会するうちに「スノーデンの視点から語られる彼のバージョンの物語を映画にしようという気持ちになった」と語る。
そのため「自分がどう思うかという視点は入れておりません。スノーデンが自分に語ったことを映画化したもの」と本作を表現したが、「でも僕自身は彼が話したことは全て真実だと考えています」と断言。当初は「映画のために来日したので、できれば政治の話にならなければいいな……」と前置きしていたストーン監督だが、その後は記者陣の突っ込んだ質問に応じる形で、アメリカ政府の裏側やサイバー戦争の話など、政治談義に大いに華を咲かせた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『スノーデン』は1月27日よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国公開