生田斗真、“母性”芽生える 人生初の感情を経験
映画『彼らが本気で編むときは、』でトランスジェンダーの女性・リンコを演じた俳優の生田斗真が、18日に都内で行われた完成披露イベントで「(子役の)りんかちゃんを抱きしめたとき、『この子を守らないと』と胸が締め付けられる思いになったんです」と人生で初めて“母性”を感じたと明かした。
『彼らが本気で編むときは、』完成披露イベントフォトギャラリー
同日、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、門脇麦、田中美佐子、そして荻上直子監督とともに登壇した生田。リンコ役については、「10代から芝居を始めて30代になり、いつかは父親役をやるのかなと思っていたのですが、先に母親役をやるなんて」と自身としても驚きのオファーだった。
だが荻上監督の脚本を読んで「(前作から)5年間という時間をかけた監督の思いが一つ一つの文字に宿っているようで、監督の本気を感じました。とても面白くぜひやりたいと思いました」という。撮影を振り返り生田は、「トランスジェンダーという役は、俳優人生の中でもっとも苦労しました。女性を演じたことはありませんし、ビジュアルに自信が持てないことも多々ありました。そんな時、健ちゃんがそばにいてくれて『かわいい』って言ってくれたんです」と桐谷に感謝。
そんな生田に桐谷は「この映画は斗真が美しく見えることが大切。これまで僕は、どんな映画でも『俺が一番目立ってやる』と思っていたのですが、この作品では斗真をサポートしたいと思ったんです」と心情を吐露。この二人の息のあった関係が、作品に深みを与えている。
最後に生田は観客に向けて「今日、この場所に来られなかった人がいます」と、昨年11月に亡くなったりりィさんについて語りだすと、「この映画は、りりィさんが最後に出演された作品です。僕が役に自信が持てないとき、そばに来て『すてき、大丈夫』と声を掛けてくれました。りりィさんに拍手していただけますか?」と客席に呼び掛けた。
さらにこの日は、劇中で大きな意味を持つ編み物にちなんで、100人以上が携わって作成された毛糸の編みポスターが披露。クオリティーの高さに生田や桐谷は舌を巻いていた。
本作は、映画『かもめ食堂』の荻上直子監督が、アメリカ生活で感じたセクシャル・マイノリティーの人たちに対する思いをつづった物語。優しさに満ちあふれたトランスジェンダーのリンコ(生田)と、彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れようとする恋人のマキオ(桐谷)、そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ(柿原)の3人が、本当の幸せとは何か、傷つきながらも感じていく。2月9日から19日まで開催される第67回ベルリン国際映画祭・パノラマ部門に正式出品、さらにジェネレーション部門でも特別上映されることも決定した。(磯部正和)
映画『彼らが本気で編むときは、』は2月25日より全国公開