吉村昭原作「破獄」、ビートたけし主演で30年ぶりドラマ化
読売文学賞を受賞した吉村昭の犯罪小説「破獄」(新潮文庫刊)がビートたけし主演で約32年ぶりにテレビドラマ化されることが明らかになった。テレビ東京のドラマ初出演となる本作で、監獄の守り神として絶対的自信を持つ刑務所看守・浦田進を演じるたけしは、「いつものように監督に言われた通り、精一杯演じるつもりでいますが、『破獄』という物語は、『生きる』という深いテーマ性がある作品なので、うまく演じきれるか少し緊張しています。クランクインして間もないですが、頑張っていきます」と心境を明かしている。
「破獄」は脱獄のエキスパートとそれを防ごうとする刑務官たちの攻防を描く犯罪小説で、1985年に緒形拳、津川雅彦らを主演に迎えNHKでドラマ化された。約32年ぶりのドラマ化となる本作で主演のたけしが演じる浦田は、関東大震災時に刑務所の受刑者2,000人余りを守る間に妻子が死亡。看守長としての務めを果たすも家族を見殺しにした罪悪感にさいなまれるという役どころ。
物語は、昭和17年、東京・小菅刑務所で働く看守部長・浦田がかつて世話をした無期懲役囚・佐久間が秋田の刑務所を脱獄し、「人間扱いしない看守を訴えてほしい」と浦田の自宅を訪れたことに始まる。浦田の通報により網走刑務所に収監された佐久間と、それに伴い網走に転任することになった浦田。ベテラン看守VS脱獄のエキスパートの戦いの火ぶたが切られる……。
映画『神様のカルテ』シリーズ(2011・2014)や『白夜行』(2010)などの深川栄洋が監督、NHKドラマ「夏目漱石の妻」(2016)などの池端俊策が脚本を務め、戦前から戦後にかけて、トラウマを背負った人情派の看守部長が圧倒的な生命力を持つ脱獄犯に翻弄されていくさまを描く。脱獄犯・佐久間ほかキャストは、後日発表予定。(編集部・石井百合子)
ドラマ特別企画「破獄」は2017年、テレビ東京にて放送