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年齢・性別・国で分ける従来の「視聴者」の崩壊は近い Netflixの革新

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イベントで登壇したビル・ナイとテッド・イェーリン副社長(撮影・編集部)
イベントで登壇したビル・ナイとテッド・イェーリン副社長(撮影・編集部)

 ドラマや映画などの映像コンテンツに限らず、さまざまなジャンルにおいて顧客になりえる“ターゲット”の設定には年齢や性別が重要要素となるが、世界最大手のネット動画配信サービスNetflixはそこでさえも革新的な動きを見せている。現地時間8日、アメリカ・ニューヨークで開催された同社イベント「There's Never Enough TV」で、プロダクト部門を担当するテッド・イェーリン副社長はコンテンツ製作時には、年齢・性別・国別よりも、「何が好きか」の趣味嗜好のタイプごとに分けられるコミュニティーをターゲットに据えていることを話した。

 現在190か国、9,300万人の会員数を誇るNetflix。ユーザーの視聴履歴から、その人が好みそうな動画を勧める「リコメンド機能」などでも知られている同社のリサーチデータは膨大だ。イェーリン副社長はイベントで、先日ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014)の続編『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ(原題) / Godzilla: King of Monsters』の主演が決まったことで注目を浴びた子役ミリー・ボビー・ブラウンをブレイクさせたSFドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」について言及。同作が、テレビアニメ「ポケットモンスター」やコメディー番組「ザット ‘70s ショー」を視聴している層から“ウケている”と言うと、映像コンテンツ制作時には趣味嗜好ごとに分けた1,300のコミュニティーの好みを考慮していることを明かす。

 またこの報告が行われた「There's Never Enough TV」自体も、非常にユニークなイベントだった。従来アメリカでは、ドラマコンテンツは年に2回行われるテレビ批評家協会(TCA)によるプレスツアーが重要視され、ドラマにおける発表はそこでされることが通例化しておりNetflixも昨年まで参加していた。しかし、今年冬のTCAプレスツアーから同社は参加せずに、それに代わる独自のイベントとして「THERE’S NEVER ENOUGH TV」を開催。イベントをYouTubeで配信し誰でも見られる状態にしたほか、TCA会員のみがQ&Aで質問できるTCAツアーと比べて、この日は各国から集めた報道陣全員からの質問が受け付けられた。さらにこのようなイベントでは作品ごとにステージ発表がされるものだが、テーマを定めて4~5作品の俳優やクリエイター陣をまとめて登壇させるパネルも用意。当日は初回ということで改善の余地も残っていたが、Q&Aでは作品のことだけではなく多様化・グローバルに関すること女性のリーダー像についての質問が飛んだりと、さらなる独自の発展を遂げる可能性を感じさせた。

 日本でも、映画の舞台あいさつやイベントがインターネット配信されることが多くなってきたこの頃。ネット配信という土壌を生かし、ドラマなどの映像コンテンツを作る一企業として革新的な取り組みを見せたNetflixを含め、ネットを活用した開かれた場が増えてきたことを踏まえると、国や年齢で分けられる従来の視聴者像や、国や所属で「制限」が発生する時代は終わりを告げつつあるのかもしれない。(編集部・井本早紀)

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