明石家さんまとジミー大西の絆 とにかく伝記を作りたかったさんま
芸歴42年目で自身が初めて企画・プロデュースしたドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」の撮影現場に現れた明石家さんまのツッコミは、テレビから聞こえてくる彼の声とは違う落ち着いた声に聞こえた。
昨年10月、さんまと彼の弟子であるジミー大西の絆をNetflixがドラマ化する「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」の現場取材会が開かれた。撮影スタジオのセットは、時刻表やダイヤル式電話、マジック用の花が見え隠れしている衣装棚など “昭和57年のなんば花月”の楽屋を再現。今では全く見かけなくなったダイヤル式テレビ、分刻みで書き込まれた当時の出演表なども貼られており、舞台セットにいるだけでタイムスリップをしている気分になってくる。そのスタジオにさんまは、忙しいスケジュールの隙間をぬって、ふらりとやってくる。
ドラマでは、ジミー大西役を中尾明慶、明石家さんま役を小出恵介が担当しているが、彼らはプロデューサーであるさんまから「ああしろ、こうしろ」などの指示は受けていないという。直接さんまからオファーされていた中尾も、「さんまさんから、僕とジミーさんが似ている部分を直接聞いたことがないです。でもスタッフさんを通して、『中尾はジミーを演じられるやつだ』とおっしゃっていただいていることは知っているんですが……」と首をかしげるほど。一度台本を持って、さんま&ジミー&小出&中尾の4人でリハーサルしたときも、さんまは中尾らに対して「俺らが演じたらこうやけど、お前らは好きにやれよ」と話していた。
一方で、さんま役の小出は「こっちが求めるとアドバイスをおっしゃっていただけるんです。もっとほしいとこちらから言うと『ああせえ、こうせい』とセリフとかも変えてくれたりします。こっちがやる気を見せると、どんどんおっしゃってくれるんです」と語る。実際、撮影中にセリフの掛け合いをしている際、小出が“さんま”らしからぬ噛み方をし、苦悩している様子を見せた際には、さんまは「小出ェー!」とツッコミを入れ、清涼剤のように場の空気を変えていた。その声は、現場に緊張感を与えすぎる激しいものではなく、あくまでも役者が演じやすい環境を整えるほどにとどめられていた。
ドラマを企画したさんまは、製作の理由について「昔からテレビなどでジミーの話をさせていただいたら誰もが驚いて爆笑するんですよ。だからいつか映像にできへんかなと思ってました」と話していた。本当に彼はジミー大西の半生を映像化できることに心から喜び、今回の機会に挑んでいるのかもしれない。小出はさんまのセリフを口にするたび、あることが脳裏に浮かんだことも明かしていた。「さんまさんが後輩の方やお笑いの方々に、おっしゃりたい言葉も含まれているんだろうなって。吉本ってこういう事務所やんけ、みたいな。変な奴もたくさんおるけどかわいがれとか、辛抱してみたれとか。さんまさんのお気持ちなんだろうなと思ったりしますね」。(編集部・井本早紀)
Netflixオリジナルドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」は2017年夏に全世界190か国で全9話一挙配信予定