ゲイ告白・三ツ矢雄二、LGBTイベント参加に「ここがスタートライン」
声優の三ツ矢雄二が29日、新宿・東京都庁のTOKYO cafe 202で行われた「TOKYO RAINBOW PRIDE 2017」オープニングレセプションに出席、今年1月にテレビ番組でゲイであることをカミングアウトしたことに触れ、今の率直な思いを語った。
性的指向を問わず、偏見や差別にさらされることのない社会の実現を目指すために行われている本イベント。ステージに立った三ツ矢は「僕は今、62歳。世間では、今年になってゲイであるとカミングアウトしたと捉えられがちですが、実は今まで、まわりには何も隠さずに生きてきたんです。だから声優業界でも、僕がゲイじゃないと思っていた人はひとりもいなかったと思います。そのくらい普通に過ごしてきたんです」とコメント。
これまで性的指向について「グレーゾーン」という表現を使ってきた三ツ矢は、「これは決してあいまいにぼかしていたわけではなく、90%カミングアウトしたつもりだったんです」と説明。しかしテレビ番組で飛び出した「ゲイなのかグレーゾーンなのかどっちなの?」という質問に、「どちらかというとゲイです」と返答した三ツ矢の言葉は、ネットニュースなどを通じて広く報じられることとなった。その反響に三ツ矢は「ゲイという言葉がこんなに重い意味を持つのかとショックを受けました」と正直な思いを吐露しつつも、「これからはゲイという言葉を大切に生きていかなければいけないなと思いました」と付け加えた。
カミングアウトしようと思った理由として、「兄が会社を定年退職しましたし、僕も60歳を超えたので、このあたりでカミングアウトしようかと。ゲイのためになることをするのも、自分が生まれた意味があるんじゃないかなと思ったんです」と語った三ツ矢。「身内には迷惑をかけたかもしれないけど、きっと雄ちゃんは雄ちゃんだよと言って、そんな僕を受け入れてくれると思う。僕は家族を信じています」と語りつつも、「でも迷惑ってなんだろうとも思っていて。迷惑だと言われるのは、それは僕が否定されてしまうということ。でも僕は否定されたくないから、なるべく理解してもらえるようにしたい」と続けた。
この日は女優の東ちづるもゲストで来場。自身が理事長を務める一般社団法人 Get in touch がLGBTをテーマに制作したドキュメンタリー映画『私はワタシ ~over the rainbow~』を完成させたばかりだという東は、「性別なんて自分が好きに決めればいい。他人にとやかく言われる必要はない。好きになった人が好きになった人なんだから性別はどうでもいい」という映画内のコメントを紹介。三ツ矢も「それを聞いて今、ガツンときたけど、いい言葉ですね」としみじみかみ締めている様子だった。
今回のイベント参加について、「これがゲイをカミングアウトした自分のスタートラインだと思っています」と晴れやかな顔を見せた三ツ矢。「今まであまりにも能天気に過ごしてきましたが、いろいろな個性を持った人が普通に生きていける、そんな世の中になったらいいなと思っています」と力強く付け加えた。
なお、テレビ番組で「恋人募集中です」と語っていた三ツ矢に、「恋人はできましたか?」という質問も飛び出したが、それには「できません!」とキッパリ。「実は一通だけ(三ツ矢が主宰する)劇団のホームページに、神戸在住の方から写真付きで連絡がきたんですけど、遠距離はちょっとなと思って……」と語った三ツ矢は、「(この日のパーティー会場などで)いいなと思ったらどんどん声をかけてください」とアピールし、会場を沸かせていた。(取材・文:壬生智裕)
「TOKYO RAINBOW PRIDE 2017」は5月7日まで都内各所で開催中