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「冬のソナタ」監督、ヒット理由わからない 日本の熱すぎた“冬ソナ現象”振り返る

日本の韓流ブームの火つけ役となった「冬のソナタ」を振り返り…
日本の韓流ブームの火つけ役となった「冬のソナタ」を振り返り…

 2003年に放送された韓国ドラマ「冬のソナタ」が火つけ役となり、韓流ブームが巻き起こった日本。当時、主演を務めたペ・ヨンジュンが来日した際には、空港に約5,000人のファンが詰めかけたり、ロケ地をめぐる聖地巡礼が流行したり、30代以降の女性を中心に熱狂するファンが続出した。そんな“冬ソナ現象”を期せずして作り出したユン・ソクホ監督が、異様なまでの状況を振り返り、その胸中を告白した。

懐かしい!「冬ソナ」で一躍人気になったヨン様&チェ・ジウ

 「冬ソナ」は、ヒロインのユジン(チェ・ジウ)が、亡くなった初恋相手のジュンサン(ペ・ヨンジュン)に瓜二つの男性ミニョン(ペ・ヨンジュン/二役)と婚約者のサンヒョク(パク・ヨンハ)との間で心を揺らす姿を、美しい雪景色や叙情的な音楽を交え、波乱に満ちたストーリー展開で描いた恋愛ドラマで、韓国はもとより日本でも大ヒットした。

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四季シリーズ(「春のワルツ」「夏の香り」「秋の童話」「冬のソナタ」)でおなじみのユン・ソクホ監督

 ところが、ユン監督は「日本を意識して作ったわけではないので、こんなに愛されるとは思わなかったし、ヒットした理由はわからない」と首をひねる。しかし、「ある評論家から『日本のおばさまたちに少女の気持ちを蘇らせてあげた』と言われたことが嬉しかった」と喜ぶと、エネルギッシュな日本のファンについても「びっくりしました」と驚きつつ、「好きなことを積極的に楽しむというのは日本人の特徴だし、とても良い生き方だと思いました」と好意的な思いを口にした。

 また、「文化コンテンツの力の大きさを実感できたし、その業界にいる人間としてのプライドを持ち、もっといいものを作り続けていこうと思わせてくれました」と冬ソナがもたらした自身の変化を打ち明けた。そして、「わたしが『冬ソナ』です(笑)。今でも韓国で『“冬ソナ”のユン監督』と紹介されるけど、ドラマに良いイメージがあるので、『冬ソナ』が自分の名前みたいになっていることはとても嬉しいです」と目を細めた。

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 そのユン監督が初めて制作した長編映画は、名バイプレイヤーとして数々の作品に出演する眞島秀和と、16年ぶりにスクリーン復帰を果たす真田麻垂美を迎えた日本映画『心に吹く風』。雄大な北海道を舞台に、23年ぶりに再会した初恋を忘れられない中年男女の愛の道行を描いた、大人の純愛物語だ。

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『心に吹く風』より。ヒロイン役の真田麻垂美は16年ぶりの映画出演 -(C) 松竹ブロードキャスティング

 「映画が大好きで、死ぬまでに一度は撮ってみたかった」と話すユン監督だが、1985年から2001年まで所属したテレビ局でも、その後に設立した制作会社でもドラマ制作に携わり、夢は叶わなかった。そんな中、日本からオファーを受け、「これ以上のチャンスはもうないかもしれない!」と意を決して作り上げた本作は、「初めてシナリオも書き、『偶然と自然』をテーマに、自分の描きたいものを忠実に表現しました」という珠玉の一本。「日本人ウケは狙わず、好きにやらせてもらいました。日本人とわたしは繊細な部分が合うのか、自分が好きだと思うものを出せば、『冬ソナ』のように愛されるのかもしれません」と自信ものぞかせた。

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 さらに、「冬ソナ」同様にドラマチックな展開が待つ本作を通して、「世の中はポジティブなことだけではなく、偶然に悲劇が起きることもある。そういう悲劇をベースにしながらも、それでも生きることには価値があることを伝えたい」と力を込めた。

 「ラブレイン」(2012)以降、ドラマ制作から遠ざかっているユン監督は、「映画の魅力を感じたので、当分はまた映画をやってみたい」と新天地に意欲を見せる。「風はいつ吹くか、どう吹くかは誰にもわからない。人生も同じです。これからどういう風に生きていくかは、誰にもわからない」。そう語ったユン監督の心にも、未来を変える風が吹いたようだ。(取材/錦怜那)

映画『心に吹く風』は6月17日より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開

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