何をやっても木村拓哉論に異論『無限の住人』原作者・沙村広明氏、スターとはそういうもの
映画『無限の住人』公開記念&「アフタヌーン」創刊30周年を記念したスペシャルトークイベントが14日、都内で開催され、漫画家の沙村広明と三池崇史監督が出席した。
『無限の住人』原作者・沙村広明氏、「万次を木村拓哉に演じてもらえてよかった」 画像ギャラリー
19年に渡り、30巻という壮大な物語を描いた本作について沙村氏は、「まさか20年近くも描くと思っていなかったんですよ」と語りだすと「連載5年目ぐらいのとき『なんで不死身にしてしまったんだろう』って後悔したことがありましたね。結局23巻ぐらいで、万次がどうやったら死ぬのかが解明されたのですが、もう少し序盤で提示していたら、もうちょっとサスペンスっぽく、駆け引きを取り入れた戦いができたのかなって思いましたね」と製作秘話を披露した。
そんな沙村氏は「映画の話をいただいて、キャストの一覧を拝見したとき、一番違和感があったのが(閑馬永空を演じた)市川海老蔵さんだったんです」と打ち明けるが「閑馬は俺のなかではゾンビみたいな印象で、海老蔵さんみたいな目力の強い人で大丈夫かなと思ったんです。でも撮影現場にお伺いさせていただいたとき、木村拓哉さんとの対峙のシーンで、本当に死者の息遣いになっていて驚いたんです」と圧倒的な演技に魅了されたという。
また木村についても「木村拓哉さんは、何をやっても木村拓哉と言われる方がいると思いますが、俺はスターってそういうものだと思うんです」と持論を展開すると「格好いいところも、無様で汚いところも、両方すごく格好よかった。万次を木村さんに演じてもらえてよかったです」と笑顔をみせる。さらに「原作がある映画を作ると、原作ファンからいろいろと言われることがあると思うのですが、俺はどうアレンジしてくれるかを楽しみたいんです。いろいろな声を恐れず映画化していただけたことは感謝です」と思いを語っていた。
三池監督が「不死身である以上、廃刀令のあとの万次がどうしているのか、とても興味があるんです。現在の万次を一コマでもいいから観てみたい」と沙村氏に投げかけると「そういわれると続編を描きたくなってきますよね」と期待を口にする。さらに「以前ハリウッドから映画化の話がきたときは、シナリオが現代に万次が生きていて、ニューヨークの悪徳商社マンという設定だったんですよね。やんわりとお断りさせていただいたんですけれどね」と裏話を披露し、会場を笑わせていた。(磯部正和)
映画『無限の住人』は全国公開中