生放送中に拳銃自殺…衝撃の事件に迫るドキュメンタリー
1974年にアメリカの地方局で生放送中に起きた、キャスターの拳銃自殺の真相に迫った『ケイト・プレイズ・クリスティーン』が7月15日からアップリンク渋谷で公開される。今年1月に渋谷ユーロライブで1日限定で上映されて好評を博し、今回の公開が決まった。
同作は、テレビの生放送中にカメラの前で自殺するという事件を起こしたキャスターのクリスティーン・チャバックを演じることになった女優ケイト・リン・シールが、役作りのために生前の彼女の足取りをたどりながら、その人生を追体験していくドキュメンタリー。クリスティーンが住んでいた街を訪れ、髪型や肌の色を似せ、精神的にも肉体的にもクリスティーンへの同化を強めていくケイトだったが、その同化がやがてケイトにある変化をもたらすこととなる。
フロリダ州サラソタの地方局で発生した、生放送番組に出演中のキャスターが自らの命を絶つというショッキングな事件は、家庭用ビデオが普及する以前だったために自殺映像が世間に出回ることがなく、現地では都市伝説と化しているという。放送を録画したテープを当時のテレビ局社長が金庫に保管しているという噂もあるが、真相はいまだ闇の中。人々の記憶が薄れていき、当時の映像記録もない中で、謎につつまれたその死に今作のカメラがケイトとともに迫っていく。
ケイトが本作の劇中劇としてクリスティーンにふんし、ノンフィクション(クリスティーンの死の真相を追うケイト)とフィクション(ケイトが演じるクリスティーン)が交錯しているこのドキュメンタリーは、2016年のサンダンス映画祭で上映されてドキュメンタリー部門の審査員特別賞と脚本賞を受賞している。(編集部・海江田宗)