マーティン・スコセッシ製作総指揮、4時間に及ぶ超大作ドキュメンタリーとは
マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めた、伝説のロックバンド、グレイトフル・デッドのドキュメンタリー映画『ロング・ストレンジ・トリップ(原題) / Long Strange Trip』について、アミール・バーレフ監督が5月22日(現地時間)AOL開催のイベントで語った。
【写真】アミール・バーレフ共同監督作『121212 ニューヨーク、奇跡のライブ』
1965年にカリフォルニア州パロアルトで結成されたグレイトフル・デッド。本作は、彼らがヒッピー文化やサイケデリック文化を代表するバンドになっていく過程や、フォーク、ブルース、レゲエ、カントリーなどさまざまなジャンルの音楽の演奏に挑戦する様子、ファンやスタッフとの関わり、さらにはメンバーの脱退、死、そしてドラッグとの関係性を余すところなく描いた4時間の超大作だ。
多くの音楽ドキュメンタリー作品を手掛けているスコセッシが製作総指揮だが、本作の企画はバーレフ監督が今から14年前にグレイトフル・デッド遺産管理団体にメールを送ったことから始まったのだそう。「彼らはいつも決断するまでに時間がかかるんだ。メールでやり取りする中で彼らのアイデアも取り入れ、どのような映画にするか何度も提案して、この形にたどり着いたんだよ」と明かす。
その内容については「ファンよりもファンではない人たちをターゲットにし、良い映画を作ることを第一に考えたよ。通常のドキュメンタリーのように、インタビューとアーカイブ映像から構成したんだけど、インタビューはバンドメンバーや彼らの家族、スタッフら17人に行って、アーカイブ映像は特に個性的な人物をピックアップしたんだ」と話す。
また、グレイトフル・デッドについてバーレフ監督は「彼らは宣伝を気にしたり、それを追求したりするようなバンドではないし、ロックスターになろうとしたわけでもない。一度もセットリスト(演奏する曲の一覧を順番に記したもの)を持ってステージに上がったことはないし、観客のためにショービズ用の演奏などもしなかった。いつもステージで即興演奏をするため、全てのコンサートの内容が異なっていたんだよ。結成してから(ジェリー・ガルシアが亡くなり解散するまでの)30年間で、およそ2,500回ものコンサートを行なったが、一度も同じ内容のものはなかったそうだよ」とその魅力を熱く語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)