福士蒼汰、学園のアイドルから急成長!変化の今を自己分析
学園のアイドルを演じた『好きっていいなよ。』(2014)、『ストロボ・エッジ』(2015)や、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)など恋愛映画のイメージが強かった福士蒼汰が、ここへきて役の幅を大いに広げている。新作『ちょっと今から仕事やめてくる』(5月27日公開)では、常にハイテンションで大阪弁バリバリのヤマモトを生き生きと演じた。自身ともこれまで演じた数々の役とも全く違う飛び方をした本作での、変身の秘訣と成長の理由に迫る。
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福士が演じたヤマモトは、ブラック企業で絶望した青山(工藤阿須加)を“偶然”助ける、自称・元同級生の謎めいた男。強引に青山を連れ出しては大阪弁でツッコミまくり、青山に笑顔を取り戻させていく。そのテンションの高さ、まるでヒマワリのような無邪気な笑顔や大きな笑い声など、福士の変身ぶりに驚くが、意外にも本人は「自分では、さほど“飛んだ”とか“殻を破った”という意識はないんです」とアッサリ。
その理由を、「自分で頑張ってやり遂げたというより、成島出監督が自然にそこに連れて行ってくださったから。だから自分としては何の違和感もなくそこに居られ、演じられました」と説明。完成した映画を観て初めて、周囲に言われたように「あ……自分じゃない、と思いました(笑)」と言い、そんな本作の撮影現場を「自分の主軸となるものを作れた時間でした」と振り返る。
本作を通して「お芝居へのアプローチ(の仕方)、ホン(台本)をどう読み進めていくのかなど、確かに変わったと感じるところはあります。表情や肉体表現だけでなく音の重要さ、声の発し方の重要さも教えていただきました。だから今、やっとスタート地点に立った感覚です。本作で得たものや気づきをベースに、次からの作品にどう臨むかがポイントになると思っています」と力強く語る。「成島監督ならどう言うかをふと考える」という言葉からも、本作で得たものの大きさがうかがえる。
そんな福士は近年、同じ監督やプロデューサーから二度、三度と声を掛けられて主演を務めることも多くなってきた。「台本作りの段階から読ませていただくようになり、どうしたらもっと面白くなるか、全体のバランスはどうか、といった目線も持つようになりました。そうすることで、役としてだけでなく、客観的な目でも台本を読めるようになってきた。ようやくそこまで追いついた感じです(笑)」とあくまで謙虚だ。そして今の自分を、「樹に喩えると、見た目はちゃんとした樹に見えるけど、根っこが伴っていない、今の僕はそんな樹。根が伸びないと上にも横にも伸びていかないけれど、伸ばし方を成島監督から教わった感覚があるんです」と独特の表現で語った。
目の前の役に要求されるわけではなく、「まだ作品の中で生かせる機会は少ないですが、いつどんな役が来るかわからないので護身術系の格闘技や武術などもやっています」と以前から学んでいた英語も含め、技術の習得にも余念がない。同時に、「今はいろんなジャンルに挑戦したいです。そうすることで例えば今までやらせていただいた恋愛映画の自分にとっての位置も変わるだろうし、観てくださる方にとっても面白いものになるのかなと感じています」と展望を表した。(取材・文:折田千鶴子)