ホアキン・フェニックス、男優賞受賞に固まる!予想外すぎてスニーカーのまま登壇
第70回カンヌ国際映画祭
現地時間28日、第70回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門の授賞式が行われ、映画『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア(原題) / You Were Never Really Here』のホアキン・フェニックスが男優賞を受賞した。しかし、自身の受賞を全く予期していなかったホアキンは、名前を呼ばれても、すぐに喜びを爆発させたほかの受賞者たちとは違い、微動だにせず目だけきょろきょろ。隣に座っていた恋人で女優のルーニー・マーラに「これって舞台に上がるの?」と小さな声で聞き、「そうだ」と言ってもらってから心底驚いた表情のまま動き出した。
授賞式ということでタキシードを着ていたホアキンだが、足元はまさかのコンバースのスニーカー。登壇してトロフィーを受け取ると、まごついた様子で「全く予想していませんでした。靴を見てもらえればわかると思います。ごめんなさい。革靴はもう家に送ってしまったんです」とコメント。「何て言えばいいんだろう。言葉もありません」となかなか状況がのみこめないようだったが、感謝したい人々の名前を挙げ、「監督のリン・ラムジーと共に作りました。この賞は彼女と分けたいと思います」と語って大きな拍手を浴びた。
授賞式後の受賞者会見に出席したホアキンは本当にうれしそうで、「カンヌに来る前、ガールフレンドにこれは本当にいい経験になると言ったんだ。きっと俺はボロクソに言われるだろうし、自分のダメなところを思い知らされるだろうし、そうした経験をするのは大切だから。そう思っていたから、本当に受賞は予想外だった」と明かす。
なかなか席を立たなかった理由は、「もしステージに行って、『違います。あなたはステージに上がらなくていいんです』と言われたら最悪だと思ったから」。「今、こうして口にしてみるとナイーブに聞こえるけどね」と照れ臭そうに笑った。「どこへ行っても皆映画について話している。俺たちがやったことを祝福してくれてとても感謝している。本当に素晴らしい時間を過ごせてうれしい」とカンヌの印象も語り、司会者に会見はここまでと告げられると「えー? これで終わり?」と心底残念そうで、「本当にありがとう!」と会場に呼び掛けて、写真撮影やサインのリクエストにも気軽に応じていた。
『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア(原題)』は、『少年は残酷な弓を射る』のラムジー監督がアメリカ人作家ジョナサン・エイムズの同名小説を映画化したスリラー。ホアキンは、売春のために人身売買される少女たちを助け、その報酬で暮らしている退役軍人のジョーを複雑な内面まで見事に体現し、新たなアンチヒーローを作り上げていた。今年のカンヌではホアキンの男優賞、ラムジー監督の脚本賞と2冠に輝いた。(編集部・市川遥)