あんなにフサフサだったのに!イケメン俳優、超薄毛に
第70回カンヌ国際映画祭
現地時間21日、第70回カンヌ国際映画祭で映画『リダウタブル(英題)/ Redoubtable』の公式会見が行われ、フサフサの髪の毛を封印し、巨匠ジャン=リュック・ゴダールに成り切った俳優のルイ・ガレルが役づくりを語った。
本作は、ゴダール監督の元妻で女優のアンヌ・ヴィアゼムスキーの自叙伝を、『アーティスト』のオスカー監督ミシェル・アザナヴィシウスが映画化したコメディー。19歳でゴダール監督の『中国女』に主演し、40歳近いゴダール監督と結婚したアンヌ。彼女の目を通して、新たな表現を見いだそうと苦悩し、皮肉屋で子供っぽいところもある“ジャン=リュック”をコミカルに、彼の映画のスタイルを借用しつつビビッドに描く。
原作を読んで「これは映画化すべき」だと考えたアザナヴィシウス監督は、すぐにアンヌに電話したものの、彼女は映画化に全然乗り気ではなかったと振り返る。しかし、アザナヴィシウス監督が電話を切る直前に言った「あなたの本はとても面白かったです」という言葉が全てを変えた。「彼女が『面白かった?』と聞くから、『すごく笑えました』と言ったら、『わたしもとてもおかしいと思っていたの。ほかの人に言われたことはなかったんだけど』と。それで彼女は僕に会ってくれることになったんだ」。
そして、ゴダール監督役に決まったのは、『サンローラン』などで知られるルイだ。徹底した役づくりを行い、見た目から声までゴダール監督そっくりになった。ルイは「どこから始めようかと考えていた時にミシェル(・アザナヴィシウス監督)と話したら、彼はとても視覚を重視していて『ヘアスタイルは? 僕たちは君の髪を変えないといけない』と言ってきた。僕は『髪は僕にとってとても重要なんだ』と言ったんだけど(笑)、結局説得されて『とことんまでやろう!』となった。これまでで一番力を注いだよ」と明かす。
声については、ルイが「彼の映画は全て観ている。常に彼のように映画を観ようとしてきた」と公言するほどのゴダールファンだったことが大きく影響した。「何年も何年も彼の声を音楽のように聴いてきた。彼の声はボブ・ディランの音楽のようで、何時間でも聴くことができる」。偉大なゴダールではなく、一人の人間としてのゴダールを体現したルイの名演は必見といえる。(編集部・市川遥)