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『ローガン』監督、ウルヴァリン最後の戦いに込めた“愛と暴力”

戦いだけではない、少女とローガン、プロフェッサーXの濃密なドラマが心を打つ
戦いだけではない、少女とローガン、プロフェッサーXの濃密なドラマが心を打つ - (C) 2017Twentieth Century Fox Film Corporation

 ヒュー・ジャックマンが17年にわたって演じたヒーロー、ウルヴァリンの最後の戦いを描く映画『LOGAN/ローガン』(全国公開中)の ジェームズ・マンゴールド監督が、スーパーヒーロー映画の枠にとらわれない本作に込めたメッセージについて語った。

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 『X-MEN』シリーズにも連なる本作は、ミュータントが絶滅しかけた未来が舞台。ウルヴァリン=ローガンもかつての力を失いつつあり、衰弱したかつてのX-MENの指導者プロフェッサーX(パトリック・スチュワート)を介護しながら荒野に暮らしており、映画は、彼らとウルヴァリンと同じ力を持つ謎の少女ローラ(ダフネ・キーン)の旅を追う。

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最後のウルヴァリンの戦いを描いたジェームズ・マンゴールド監督

 スーパーヒーロー映画らしいスペクタクルシーンは少ないが、それゆえに、狂暴性と哀しみを兼ね備えたローガンの人間的な弱さと葛藤が胸に迫る。「それがこの映画のポイントだった。暴力と愛の両方を描きたかったんだ。どんなにダークな映画でも、そこに愛や感情がなければ虚無なだけだし、スイートなだけの映画も現実味がない。僕が溺れるように観た1970年代や1960年代の映画は、どれもその両方を描いていたものさ」と監督は語る。

 “スーパーヒーロー映画”の枠にはまらない、濃密なドラマを描いたことに監督は、「世界の命運を描くような作品だったら、サンフランシスコの破壊シーンがあったりしてバカ高い予算がかかる。でも僕が語りたかったのは、車で旅する三人の人物についての物語。あらゆる面において、観客に物語を伝えるうえで十分な予算があった。クソッタレなCGに余計なお金をかけるようなこともなかったからね」と満足げだ。

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 「観客だってそういった表現には疲れきっていると思う。だいたい、今やXboxやPlayStation(R)を通じて、よっぽど素晴らしい世界を自分で体験することができるんだからね。僕ら作り手が思い出すべきなのは、人間の感情やドラマこそが、何よりも大事だっていうことさ」。

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妥協せず作り上げた渾身の作品になった。(C) 2017Twentieth Century Fox Film Corporation

 ヒューとは、『ニューヨークの恋人』(2001)以来の仲。「はっきり言って、役者っていうのはだいたいがしょうもない世界に住んでいる。周りから『君は美しい、さっきの演技はよかった、素晴らしいドレスだ!』なんて言われ続ける世界さ。彼らだって、そんな言葉はウソだって知っているけどね」という監督は「でも、僕とヒューの間でそんなことはない。お互いに、もっと映画をよくできる、もっと深みに行くことができる、何かを見落としているはずだって、正直に言い合えるんだ」と撮影を振り返る。

 本作でウルヴァリンの物語は終わりを迎えるが、「ヒューとは、これからも別の作品で仕事をするつもりだ」という監督。また、劇中でローガンが必死で守るローラを主人公にした作品も企画しているといい、「今すぐではないけれど、リアリティーあふれる、とても興味深い作品になるだろう。ローラは魅力的なキャラだし、ダフネも素晴らしい女優だからね」と展望を明かした。(編集部・入倉功一)

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