『ウォレスとグルミット』ウォレス声優、死去 96歳
クレイアニメ『ウォレスとグルミット』シリーズの発明家ウォレスの声優として知られるイギリス人俳優ピーター・サリスさんが現地時間2日、96歳で亡くなった。家族に囲まれ、穏やかな最期だったという。5日にピーターさんのエージェントが発表した。
『ウォレスとグルミット』は、ウェンズリーデールチーズが大好きで、ちょっと抜けていて大騒動を巻き起こしてばかりの発明家ウォレスと、忠実な愛犬グルミットという名コンビの活躍をコミカルに描いた人気シリーズ。アードマン・アニメーションズのニック・パークが手掛け、アカデミー賞にも輝いた。
イギリスではBBCの長寿ドラマ「ラスト・オブ・ザ・サマー・ワイン(原題)/ Last of the Summer Wine」(1973~2010)への出演(全295話に出演した唯一の俳優)でも有名だったピーターさんと、映画学校の学生だったパークが出会ったのは1980年代初めのこと。まだキャラクターのアイデアも固まっていなかった頃、初めての収録でのピーターさんのユニークでチャーミングな性格と人を惹きつける演技、「チーーーーズ!」というような母音を引き延ばした発音が、ウォレスを形作り、印象的なあの大きな口にもつながったという。
パークはピーターさんの訃報に際し、『ウォレスとグルミット』の公式サイトでコメントを発表。「とても悲しいですが、ピーターと知り合え、こんなに長い年月一緒に仕事ができたことに感謝に気持ちでいっぱいです。もちろんピーターのことは『ラスト・オブ・ザ・サマー・ワイン(原題)』で知っていて、ウォレス役は絶対に彼にやってほしいと思っていました。彼はそのユニークな才能とユーモア、節度あるひょうきんさというイギリスらしさを作品に持ち込んでくれました。彼の皮肉で予想もつかないユーモアを恋しく思うでしょう。それはスタジオのドアであいさつをした時から始まって、(収録を終えて)マイクのスイッチを切っても終わらないんです。生まれながらに楽しい人で、素晴らしく話し上手。何時間も僕らを楽しませてくれました」と故人へのあふれんばかりの思いをつづっている。(編集部・市川遥)