リメイクはアリ?ナシ?アジア人気「深夜食堂」中国ファンの関心度も高く
中国・上海市で開催中の第20回上海国際映画祭で21日夜、『続・深夜食堂』が上映され、松岡錠司監督と主演の小林薫が終映後のQ&Aに登壇した。イベント中には、アジア人気が強い同作への中国人の関心度の高さがうかがえる質問が飛び交う一幕もあった。
「深夜食堂」シリーズは中国の日本ドラマファンの間で日本の情緒を感じることができる心温まる人間ドラマとして評価が高く、映画祭でも1,000人以上を収容できる上映会場のチケットが発売後わずか1分で完売する人気ぶり。中国人の間でも「クールで神秘的」と評判の“マスター”小林が登場すると、観客からは大きな拍手とともに、日本語で「小林さーん!」という声援が送られた。壇上に立った小林はおなじみの「できるもんなら、何でも作るよ」のセリフでサービス。上海の「深夜食堂」ファンを喜ばせた。
質疑応答では、最初に勢いよく手を挙げた女性から松岡監督に、中国版「深夜食堂」をどう評価するかという質問が飛んだ。その途端、客席は大きくどよめき、司会の女性も「来ると思っていました」という反応。というのも、現地では映画祭直前の6月12日から、中国版リメイクドラマのテレビ放送がスタートしており、セリフや設定をオリジナルに近づけたばかりに「中国人の食文化や生活に合っていない」と厳しい意見が噴出していたからだ。
これに対し松岡監督は自身が手掛けた日本版以外は見ていないとのこと。しかしアジアでの人気には驚いているようで、「食文化が違うところで、そこの人たちが土地に根ざした深夜食堂を作ろうとしている。そういう力をこの作品が持っていたんだなって、あらためて感じています」と語っていた。
しかし批判がある一方で、中国版ドラマをきっかけに、これまで「深夜食堂」シリーズをまったく知らなかった視聴者やオリジナルのファンが日本版に立ち戻り、動画配信サイトなどで視聴する人が増えているという現象も起こっている。中国での一般公開を控える『続・深夜食堂』にとっては、思わぬ“追い風”が吹いているとも言えるだろう。
また観客からは作品にかけて「好きな中国の料理は?」という質問が。小林が「上海アブラ麺ですね」と答えると、客席から「わあ!」という歓声と拍手が起きていた。終了後、日本版のドラマも映画もすべて視聴済みという男性の観客は、「お馴染みの『あの感じ』が戻ってきた! 中国版ドラマは観ていない。やっぱり『本場の味』は越えられないと思うから」と感想を語った。『続・深夜食堂』は、7月18日から中国での公開が決まっている。(新田理恵)