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吉岡里帆“変顔”で殻を破った 役にハマる女優としての転機

吉岡里帆、女優としての転機は? - ヘアメイク&スタイリング:山崎惠子、ロケ協力:ベリーベリースープ 原宿神宮前店
吉岡里帆、女優としての転機は? - ヘアメイク&スタイリング:山崎惠子、ロケ協力:ベリーベリースープ 原宿神宮前店

 NHK連続テレビ小説「あさが来た」では丸メガネの読書好き美少女、TBS系ドラマ「カルテット」では周囲を惑わす謎の悪女と、振り幅の広い独特の存在感で人々を魅了する女優の吉岡里帆。最新作『STAR SAND -星砂物語-』では戦時中に書かれた一冊の日記と出会い、心の成長を遂げていくイマドキ女子大生をリアルに演じている。「臆病なわたしをいつも役が引っ張ってくれる」という吉岡が、女優としての転機、演技に対する取り組み方、そして本作への熱い思いを真摯に語った。

【写真】印象違う!茶髪&赤リップの吉岡里帆

 そもそも大学の書道コースに通い、将来は「書家になる」と明言していた吉岡。ところがある日、エキストラに参加したことから映画仲間の輪が広がり、いつしか女優という仕事に憧れを抱き始めたという。「一本の映画を作るために、いろんな特技を持った人たちが集まって壮大な力を発揮する。そこにすごくロマンを感じてしまって。自分が映画の一部になれるだけでお腹いっぱい。主役とか脇役とか関係ない、どんな役でも出演できるなら人生これでいい! って思ってしまった」と振り返る。

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大ブレイク中の吉岡。ドラマ「ごめん、愛してる」(TBS・7月期)で連ドラ初ヒロインを務めることでも話題

 やがて吉岡は東京の俳優養成所に通い、小劇場で経験を積み、女優としてのスキル磨きに精を出すが、菅田将暉主演、福田雄一監督の映画『明烏 あけがらす』のヒロインに抜擢され、才能が開花する。「福田監督から『芝居は心だけじゃない、顔や声の気迫も大事。思い切って変顔してみろ!』とゲキを飛ばされ、役にハマる、役に引っ張ってもらうことを教えられた」と述懐。女優として殻を破った吉岡は、「演じるときに大事なのは、羞恥心を捨てること。ときどき、役の中に臆病で引っ込み思案の吉岡里帆が残っているときがあるんですが、もう恐くて、恐くて。『やだやだ、早く出ていって!』って声に出して追い出します」と笑顔を見せる。

 昨年から今年にかけて大ブレイクしたことについては、「全く実感がない」と語る吉岡。「皆さんがドラマのキャラクターに関心を持ってくださることには驚いていますが、わたし自身は、必死に演じることで精一杯。それは以前と変わらない」といたって謙虚。あくまでも演じることに真摯でいたい……そう願う彼女は、ドラマで注目されることも大切だが、予算は少なくても強いメッセージ性を持った映画にも積極的に出演したいと抱負を語る。

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『STAR SAND -星砂物語-』より。吉岡はイマドキの女子大生・志保を演じた - (C) 2017 The STAR SAND Team

 最新作『STAR SAND -星砂物語-』への参加はまさにその意志の表れ。『戦場のメリークリスマス』の助監督を務めたロジャー・パルバースがメガホンを取り、同作の音楽を手掛けた坂本龍一が主題曲を担当する本作は、パルバース自身が書き下ろした小説を映画化した人間ドラマ。1945年の沖縄、戦禍を逃れ小さな島で暮らす16歳の少女・洋海(ひろみ)と、洞窟で暮らす日本とアメリカの脱走兵、隆康とボブが出会い、そこにある日、除隊を余儀なくされた隆康の兄が洞窟にやって来るというドラマを描く。

 現代パートで、洋海が綴った当時の日記と偶然出会い、戦時下の沖縄に思いを馳せる女子大生・志保を演じた吉岡は、「役柄的に“無気力”な女子大生だったので、『色を付けない』『物語の邪魔をしない』アプローチと、常に受け身であることを心掛けました」と演技プランを披露。誰も殺したくない思いから軍を抜けたアメリカ兵と、脱走しても「国のために戦え」という声に苦しむ日本兵。2人は本当に卑怯者なのか? 難しいテーマながら吉岡は、「逃げてはいけなかったのか、今一度、わたしたちの中で問いただし、やはり戦争はいけないことだ、という思いを皆さんと共有したい」と力強く締めくくった。(取材・文・写真:坂田正樹)

映画『STAR SAND -星砂物語-』は6月21日より沖縄・桜坂劇場にて先行上映、8月4日より東京・ユーロライブほか順次公開

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